【高性能純EVのスイートスポット】ポルシェ・タイカン4Sに試乗 ツインモーターで571ps
4Sでも加速は胸が圧迫される勢い
text:Simon Davis(サイモン・デイビス) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) 純EVのポルシェ・タイカンの場合、英国では571psもある4Sがエントリーグレード。10年ほど前なら、この馬力を備えるクルマは主にミドシップのイタリアン・スーパーカーだった。 【写真】ポルシェ・タイカン 純EVサルーン eトロンGT、モデルSを比較 (104枚) 4シーターが欲しければ、メルセデスAMGやアウディRSからも選べてはいた。だが、他を圧倒する最強版だった。 ポルシェ・タイカンの場合、英国では571psより上しかない。この4ドア純EVスポーツサルーンの価格は、8万3367ポンド(1125万円)からとなる。 このタイカン4Sで571psを引き出せるのは、基本的にはローンチコントロールを用いたスタートダッシュだけ。あるいは、4613ポンド(62万円)を追加して、パフォーマンス・バッテリー・プラスというオプションを追加すれば、可能となる。 このオプションを加えると、通常の条件下でもツインモーターの最高出力は435psから489psへ増強される。加えて航続距離が413kmから463kmへと伸びるから、選んだ方が良いだろう。最大トルクは66.1kg-mで変わらない。 489psもあれば、車重2.2tあるタイカン4Sは信じられないほど速く走る。右足に力を入れると、胸が圧迫される勢いで、弾かれるように加速し始める。友人へ自慢する意外、これ以上のパワーが必要になる場面はないだろう。
感心するほどの快適性と鋭いコーナリング
穏やかな気持でアクセルペダルを踏めば、滑らかな加速でクルマは進み始める。電気モーターのパワーはリニアに発生するから、加速時の反応はダイレクトで充足感も高い。 ステアリングホイールに取り付けられたセレクターで、ドライブモードをスポーツ・プラスにすると、宇宙船がワープするような電気的サウンドが加速時に聞こえてくる。しかしそれ意外、走行中の車内はいたって静寂。 異常なほど速いタイカン・ターボやターボSと同じ、3チャンバー式のエア・サスペンションも備える。姿勢制御は素晴らしいうえに、走行時は極めて快適。舗装の手入れが悪くても、サスペンションがハードな設定でも、車内をとても穏やかに保ってくれる。 路面の凹凸はスマートにフィルタリングされ、サスペンションからのノイズも、意識すればわずかに聞こえる程度。秀逸なロードマナーだけでなく、急速充電器は270kWの容量まで対応し、長距離でもストレスは最小限に運転できるだろう。 タイカン4Sで最も強い感銘を受けるのが、コーナリングの振る舞い。ステアリングの反応は電光石火のごとく素早く、2.2tの車重を制御下におきながら、当然のように鋭く旋回する。物理に反するような回頭性を可能とした技術力には、唸らされるばかりだ。