【米大統領選】バイデン氏、史上最多得票で当選確実に 激戦州を制して過半数確保 トランプ氏は敗北宣言せず
11月3日(現地時間)に開票されたアメリカ大統領選で、民主党から立候補していたジョー・バイデン氏の当選が確実となった。バイデン氏が激戦州のペンシルベニアなどで勝利が確実となった、と米国の各メディアが伝えた。 掴みかかるトランプ支持者、バリケードに囲まれたホワイトハウス… 「異例」の大統領選を伝える23枚の写真 これによりバイデン氏は、選挙人538人のうち過半数を確保することが確実となった。また、日本時間の7日午後までに得票数は7400万票を超えた。これは2008年のオバマ氏の得票数を上回り、アメリカ史上最多となる。【BuzzFeed Japan/千葉雄登】
日本など各国が祝福メッセージ
バイデン氏は当選確実が伝えられた7日(現地時間)、「アメリカの人々が、私と次期副大統領のハリス氏に寄せてくれた信頼をおいてくれたことを謹んで受け止め、光栄に感じている」との声明を出した。 カマラ・ハリス氏は、父はジャマイカ系、母はインド系という多様なルーツを持つ。就任すれば、米国史上初の女性副大統領となる。 菅義偉首相、イギリスのジョンソン首相、フランスのマクロン大統領ら各国首脳は次々とバイデン氏の当選を祝福する声明を出している。日本を含む各国は、もはやバイデン氏の当選は揺るがないと情勢分析したうえで、「トランプ後」を見据えて動き始めている。
トランプ氏は敗北を受け入れず
一方、現職のドナルド・トランプ氏(共和)は、敗北を認めていない。 「7100万の合法的な票を得て勝ったのは私だ」「監視員が開票所に入ることができなかった」などとツイートしている。ツイートの一部はツイッター社に「この主張には反論がある」などの注意書きが付けられている。 これまでも「郵便投票に不正がある」などと主張してきたトランプ陣営は、複数の州で開票を巡る法廷闘争を続けている。今のところ、トランプ陣営の主張が全面的に受け入れられる情勢ではない。しかし、裁判が最終的に終結するか、トランプ氏が敗北を認めるまで、混乱は続きそうだ。
今後の見通しは?
今回の選挙で有権者は投票方法を、 1)投票日に投票所での投票 2)期日前投票 3)郵便投票 の3つの選択肢の中から選ぶことができる。 今年の選挙は新型コロナの影響で、多数の人が集まる投票所を避け、期日前や郵便投票を選ぶ有権者が増えている。州によっては郵便投票を基本とするところもある。 新型コロナウイルス蔓延を受けて、郵便投票を選択する有権者は民主党支持層が多いと見られていた。それが、トランプ陣営が法廷闘争などで郵便投票の開票を阻もうとしてきた理由だ。 トランプ氏は、2020年の早い段階から「郵便投票で不正が起きる」「外国がつくった偽造票が紛れ込む」などと、根拠を示さないまま主張してきた。 連邦選挙委員会や各州の選管当局、そして米郵政公社はこうした「疑惑」を否定してきたが、トランプ氏の批判は止まっていない。 トランプ氏は4日午後(日本時間)、フロリダ州やオハイオ州などトランプ陣営が勝利した激戦州を列挙した上で、根拠を示さないまま「率直に言ってもう私たちは勝利した」と、勝利宣言と取れる発言をした。 さらに、複数の州で開票の一時中止などを求める訴訟を起こした。その決着には、一定の時間が掛かるとみられる。複数の訴訟は「開票所で監視員や市民のアクセスが制限された」といった内容のもので、具体的な不正の存在を争うものではない。また、トランプ氏自身も具体的な不正の証拠を示していない。 アメリカの大統領選では、敗者が敗北を認めるスピーチをすることで選挙が終わる伝統がある。トランプ氏は8日朝(日本時間)、敗北を認める構えは見せていない。 今後の焦点は、これらの法廷闘争の行方と、トランプ氏の動向に移る。 大統領選では12月14日、開票結果を受けて各州の選挙人による投票が行われる。選挙人の投票は儀礼的なものだが、それを受けて2021年1月6日に当選者が確定。1月20日に新大統領の就任宣誓式が開かれる。 なお、アメリカ大統領選で選挙結果を巡って長く揉めた例としては、2000年大統領選がある。 フロリダ州での開票の再集計を巡り、両陣営の法廷闘争となった。連邦最高裁の決定が出て当選者が確定するまで、35日かかった。 再集計を求めて争っていた民主党のゴア氏は、最高裁の決定が出てから「民主主義と国民の団結のため、敗北を認める」とスピーチし、争いは終わった。