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小泉今日子 「#検察庁法改正案に反対します」で思い出す“反逆の歴史”

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デイリー新潮

 安倍晋三首相は「国民の理解なくして前に進めることはできない」として、今国会で検察庁法改正案を成立させることを断念した。その立役者の1人が、キョンキョンこと小泉今日子である。彼女は、いつから政治的発言をするようになったのか、アイドル評論家の中森明夫氏に聞いてみた。  ***

 まずは問題の法案とキョンキョンの動きをおさらいしておこう。  検察官の定年を内閣の判断で延長できるようにする、検察庁法改正案は5月8日(金)に審議入りし、週明けの裁決を目指していた。すでに官邸に近いとされる黒川弘務・東京高検検事長のための改正との見方が広がっていた。  発端は、この日に投稿された「#検察庁法改正案に反対します」とのツイートだった。翌9日夜には、多くの俳優やミュージシャンなどもこれに賛同を表明し始めた。キョンキョンもその1人だったが、深夜から翌日昼にかけて《もう一度言っておきます! 》などコメントを加えたりしつつ7連投で発信していた。同様の投稿は10日夜までの2日間で延べ480万件を超えた。  それでもキョンキョンは手を緩めない。 《私、更に勉強してみました。読んで、見て、考えた。その上で今日も呟かずにはいられない。》(12日午後9時42分) 《国会中継見てます。》(15日午後2時56分)  15日は、検察OBが法務省に反対意見書を提出し、記者会見も行われた。 《検察OBの皆さんの会見。》(15日午後4時36分)  その意見書全文が報じられると、 《泣きました。そして背筋が伸びました。こういう大人にわたしはなりたい。》(15日午後11時8分)  そして18日、安倍首相は白旗を揚げることになったのだ。それにしても、キョンキョンがこれほど政治について熱く語ることなんてあったっけ? 

反逆のアイドル

中森:確かに、これまで小泉さんには見られなかったものです。ただし、彼女はいまだにキョンキョンと呼ばれ、10代の頃のイメージが付きまとっていますが、今や54歳の立派な中高年です。政治について発言しても何ら不思議はありません。芸能人が政治的発言をするな、なんて声もありますけど、だったら三原じゅん子や今井絵理子はどうなるのでしょう。彼女たちだってアイドル出身ですが、いまや自民党の現役国会議員ですからね。 ――確かにそうだ。 中森:小泉さんのデビューは82年。中森明菜や早見優、堀ちえみと言った“花の82年組”と言われたアイドルの当たり年でした。その2年前の80年に松田聖子さんがデビューしていますが、この年は山口百恵さんが引退した年でもある。百恵さんは21歳で結婚と同時に引退し、その後一切表舞台に出てこないのに対し、聖子さんは今年デビュー40周年です。百恵さんまではアイドルは結婚したら引退という風潮がありました。聖子さんは結婚しても引退しなかったので、バッシングされたこともあった。つまりちょうど芸能界が変わり始めた頃に82年組はデビューしわたけです。中でもキョンキョンはアイドルの形を変えた人でした。 ――彼女には“反逆の歴史”があるという。 中森:当初、所属事務所は彼女をアイドル然として育てようとしましたが、それに反発。“聖子ちゃんカット”だった髪を、勝手に“刈り上げ”にしたこともありましたね。事務所にも怒られたそうですが、これが女性に人気となり、アイドルとして初めて「an・an」の表紙を飾ることにもなりました。 ――当時、刈り上げのアイドルなど皆無だった。他のアイドルが好きな食べ物に“イチゴ”などと答えている雑誌でも、キョンキョンは“せんべい”だった。 中森:85年に大ヒットした「なんてったってアイドル」の辺りからは、自分はアイドルを演じていることを公言していました。事務所の言いなりが当たり前だった時代に彼女の存在は異質でした。いまでこそアイドルも自由にものを言っていい時代になりましたが、その走りが彼女だったんです。 ――言動が奔放だったため、事務所からはトーク番組への出演を止められ、「徹子の部屋」(テレビ朝日)に出演したのも50歳になってからだった。 中森:先程、54歳と言いましたが、美空ひばりさんは52歳で亡くなっています。小泉さんもキャリアは十分ですからね、政治的発言だって自然の成り行きでしょう。 ――今回、彼女が果たした役割とは。 中森:安倍首相が「国民の理解を得られていない」と法案を引っ込めざるをえなくなった要因の1つが《#検察庁法改正案反対》運動でした。その運動のシンボルこそ、小泉今日子だったと思います。 ――では、なぜそうなったのだろう。 中森:政治的発言が話題になっているのは、Twitterのアカウントは「株式会社明後日」という彼女の設立した会社名義になっていることも大きいのではないかと思います。彼女はアイドル時代からセルフプロデュースをしており、大手芸能事務所を辞めてから、近年は自分以外のもの、演劇などのプロデュースもやるようになった。さらにコロナ禍で芸能界全体が苦しい状況にもなった。そんな中で、会社代表という立場からも、社会的に発言していかなければいけないという意識に変わっていったのかもしれません。 ――長年所属していた芸能事務所を辞めたことで、縛りがなくなったのだろうか。 中森:それも多少はあるでしょう。芸能事務所にいれば、何らかの締め付けはあるでしょうからね。CMなどに出演していれば、波風立つようなことはしないようにするでしょうから。彼女くらいの大御所になると、それほどの縛りはなかったと思いますが、それでもこうした発言は、しにくかったでしょう。ハリウッドのように、アカデミー賞の授賞式でトランプ批判をするような文化は日本にはありませんしね。 ――つまり、余程腹が立ったということだろう。

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