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会社をやめるという決断…元幻冬舎の敏腕編集者が出した答え

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女性自身

「40代になると壁のようなものを感じたという方が多かった。女性が長く働き続けるのは大変だと改めて感じました」 アラフォーともなると、女性は仕事をはじめ子育て、介護、更年期……といった若いころには思いもよらないことが次々と起こってくる。さらに今年はコロナ禍において日常生活が一変させられた。女性の生き方は常に時代に影響され、ときには翻弄されていることが身につまされる。 そうした時代の荒波を潜り抜けてきた(今も闘っている)のが、最新刊『バブル』の著者・山口ミルコ氏だ。現在、55歳。幻冬舎の敏腕編集者として男性社会の中で悩みながらも奮闘し、数々のベストセラーを生み出した女性だ。 会社を辞めてから約十年、「ようやくあの頃を振り返ることができた」という山口氏。自伝的ノンフィクション『バブル』は自身のことを軸に、生保、航空、証券などあらゆる業種の同世代の女性たちから「今だから語れる仕事とプライベート、生き方についてのリアルな本音」を引き出した注目作だ。 過去を羨むように時折、取り上げられる1980年代後半から90年代初頭の「バブル」と呼ばれる時代。あの時代を華やかな世界として象徴的に取り上げられがちだが、じつは必ずしもそうではないという。 山口氏は「(ディスコの)お立ち台などがバブルの象徴ではなく、いつの時代も今でも何かしら“バブル”は生まれては消えていく。ただ、すべてが泡でも何も残らないというわけではないと思うのです」と振り返る。 自身は大学卒業後、外資系損保会社に入社したが翌年、転職して出版社で働き始めた。この世界で働く女性はまだそれほど多くはない。がむしゃらに働きながら、1994年に創業間もない幻冬舎に移る。 「ボスがいて、仲間がいて、小さな会社で『頑張ろうね』と、皆が力を合わせて走れた時代でした」 2009年に退社するまで、ベストセラーとなった五木寛之氏の『大河の一滴』をはじめ、さくらももこ氏、江國香織氏などそうそうたる人たちの本を生み出してきた。 仕事に明け暮れ、順風満帆と思われるなか、ある日、ふと違和感を覚えるようになる。それは突然自分の身に起こるのではなく、少しずつ積もっていた。 いつしか自らの社内評価が低下していることにふと気づく。悩みながら、会社を辞めるという決断を下した。そして、退社後、43歳のときに乳がんが発覚する。 病と闘いながら、ときには「なんでこうなっちゃったのだろうか」と自分を責める日もあった。それでも自分の身体と向き合いながら今日までたどり着いた。 「時間がたたないとわからないことがある。形がなくなっても記憶が残っている。大切なことは決して消えない」 【PROFILE】 山口ミルコ(やまぐち・みるこ) 1965年東京生まれ。専修大学文学部卒業後、外資系企業勤務を経て、角川書店雑誌編集部へ。「月刊カドカワ」等の編集に携わる。'94年2月、創業メンバーとして幻冬舎へ。五木寛之、さくらももこ、辻仁成、中山美穂、藤原紀香、小川洋子、江國香織等を担当し、大ベストセラーを量産。書籍編集のほか雑誌の創刊や映画製作に多数かかわる。'09年3月に幻冬舎を退社。フリーランスとなった矢先、乳がんを発症。その経験をもとに闘病記『毛のない生活』(ミシマ社、2012年)を上梓、作家デビュー。

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