自民総裁選、派閥解消で候補乱立の様相に-小林鷹之氏が出馬表明
(ブルームバーグ): 9月の自民党総裁選は、解散を決めた派閥の縛りがなくなったことで候補者乱立の様相となっている。11人の名前が浮上しているが、立候補には国会議員20人の推薦人を確保する必要があり、何人が関門を突破できるかで選挙の構図は変わる。
立候補の可能性を指摘されている議員は11人。小林鷹之前経済安全保障担当相が19日に出馬表明したほか、茂木敏充幹事長や石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安全保障担当相に加え、斎藤健経済産業相、加藤勝信元官房長官、上川陽子外相が意欲を示している。朝日新聞は、林芳正官房長官、小泉進次郎元環境相、野田聖子元総務相の名前も挙げている。
20人の推薦人は派閥に頼らずに集めるには高いハードルだ。無派閥の野田元総務相は過去に断念した苦い経験があるが、4人が争った前回2021年は告示日前日になって出馬表明にこぎつけた。今回もぎりぎりまで奔走する議員が出て、最終的に何人が立候補するか、告示日近くまで確定しない可能性がある。2000年以降で立候補者数の最多は08年と12年の5人だった。
元自民党職員で政治評論家の田村重信氏は、総裁選が乱戦模様となった理由について「派閥の締め付けがなくなったことで手を挙げやすくなったためだ」と指摘する。ただ、20人の推薦人を集めることができるのは名前の挙がっている議員の半数程度にとどまると分析しており、だれが実際に立候補するかで「構図は全然変わる」との見方を示した。
石破氏は「めどつきつつある」
小林氏は19日午後、記者会見を開き、立候補を正式表明した。当選4回で49歳の小林氏は二階派に所属していたが、党の現状に危機感を募らせる中堅・若手から派閥の枠を超えた支持を集めつつあり、一番乗りとなった。
記者会見で小林氏は、「自民党は生まれ変われることを証明したい。だから脱派閥選挙をこの総裁選で徹底する」と強調した。会見が行われた会場には安倍派にいた鈴木英敬衆院議員らが姿を見せていた。