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世界NY在住アーティスト、河野富広が語るウィッグの魅力。

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VOGUE JAPAN

目も覚めるようなカラフルな原宿スタイルから、ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)のショーで見せたアヴァンギャルドなものまで、NYを拠点に活躍するウィッグアーティスト、河野富弘が生み出す世界観は視覚的な刺激に満ちている。ヘアスタイリストとしても活動する一方、自身のInstagramで披露されるアートインスタレーションのような作品はカルト的人気を誇る。作品集『Persona 111』を出版したばかりの河野に、ウィッグの魅力と可能性について聞いた。

「僕のウィッグは、とめどない変身を促すものであり、それを可能にするためにつくられたもの。なりたい自分の姿によってウィッグを選び、新しい人生を楽しんでほしい」 NYのファッション業界において、ヘアスタイリスト兼ウィッグアーティストとして活動する河野富広はそう語る。ライラックのルーズなヘア、コバルトブルーのマレットヘア、高く盛り上げたロココ風ヘア、無声映画の時代を思わせる光沢のあるフィンガーウェーブなど、河野の創る作品は、様式にとらわれない型破りな魅力に満ちている。 イギリスのメイクアップアーティスト、イサマヤ・フレンチや、黒柳徹子など、彼のウィッグにはカルト的ファンが多い。インスピレーションと遊び心にあふれ、値段も手頃なエクステンションを用いた実験的スタイルを多数投稿している彼のInstagramアカウントでも、多数のフォロワーを惹きつけている。チャーミングなバズカット用ヘアトッパー、カラフルなモヒカンスタイルのエクステンション、マーク・ロスコの絵画を思わせる色彩のラットテール・エクステンションなど、眺めているだけインスピレーションが湧いてくる。

ヘアスタイリストとして20年の経験を持つ河野のキャリアは、東京ではじまった。芸者たちの伝統的な日本髪を手がける名人のもと研鑽を積み、2013年に渡米してからは、ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)のヘアスタイリストとして、2014年から2016年にかけて9回のランウェイショーに参加した。コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)の2015年春夏メンズコレクションのショーで話題になった力士風のヘアピースも、彼によるものだ。 そして2017年、河野は拠点をロンドンに移す。『Dazed』や『i-D』といった雑誌のセッションスタイリストを務め、金属や羽など、身近にある素材を使ったビスポーク・ヘッドピースで、高い評価を得た。しかし、当時トレンドであったミニマルなスタイルに閉塞感を感じはじめ、ウィッグの世界へ活動の場を広げることになる。河野にとってウィッグは、大胆なアイデアを自由に表現できる場だ。内面のアイデンティティをいかようにも投影することができるウィッグの無限の可能性に魅せられた彼の作風は、次第により実験的なスタイルへと進化していった。 あらゆるものからインスピレーションを得るという河野の作品には、特定の文化や時代に縛られない自由さと斬新さがある。演劇の小道具から医療用、さらには芸術作品として、河野は自らの創造性をウィッグの世界で開花させた。ドラァグ文化が広く市民権を獲得しただけでなく、カーディ・Bやカイリー・ジェンナーなどのセレブの影響もあり、Wig ChapelやParizhairなど、ウィッグのクリエイティビティを発信するInstagramのアカウントはここ最近急増している。 そして今年、河野はその先駆的な存在として2017年から現在までに発表した作品をまとめた『Personas 111: The Art of Wig Making 2017 to 2020(原題)』を出版。本書に込めた思いについて、話を聞いた。

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