苦しんだラツィオでの経験を代表に還元。約7か月ぶり復帰の鎌田大地は意欲十分「求められていることを表現できたらいい」
「サッカーってやっぱり分からないなと思いましたね」
まさかの8強止まりに終わった先のアジアカップの準々決勝・イラン戦を振り返っても、久保建英(レアル・ソシエダ)が下がった後に中盤でタメを作れる選手が不在で、日本は次々とボールを奪われ、攻め込まれる形になってしまった。 試合後には「鎌田がいればもう少し時間を作れたし、攻撃を活性化させてくれるはず」といった意見も出たほど。高度な技術とゲームコントロール力を備えた男の復帰を、森保監督も待ちわびたに違いない。 「アジアカップはハイライトは見ましたけど、全部は見てないんで(課題とかは)分からないです。でも、あれだけアジアカップに入る前はチームとしてすごく良かったのに、サッカーってやっぱり分からないなと思いましたね」と、鎌田も自身のラツィオでの境遇と重ね合わせるようにしみじみ語っていた。 今回、日本代表を活性化させられれば、彼自身も再び自信を取り戻せるだろうし、新天地に赴く来季に向けて弾みもつくはずだ。 欧州での報道によれば、フランクフルト時代の恩師オリヴァー・グラスナー監督が率いるクリスタル・パレス行きが本決まりになりつつあるという鎌田。ともにヨーロッパリーグ優勝という栄冠を勝ち取った指揮官のところへ赴けば、確実に出場機会を得られるし、プレミアリーグの強度とスピード感にも適応していける。 そうやって右肩上がりの状態で最終予選にも参戦してくれれば理想的。今回の6月シリーズでその布石を打ちたいところだ。 「自分はボランチだけじゃなく、トップ下やシャドーもできる。両方やれるっていうのは昔から変わりはないと思います。ただ、新天地に行っても、前じゃなくて、6番でやっていくことになると思う。それを踏まえながら、うまく(複数ポジションを)両立させていきたいですね」と意欲を口にした鎌田。 状況に応じて高い位置を取ったり、ゴール前に上がっていくなど、多種多様なパフォーマンスを示し、彼が日本代表にいる意味をしっかりと示してほしいものである。 取材・文●元川悦子(フリーライター)