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京都アニメーションの神髄がここに!『映画 聲の形』を観るべき3つのポイント

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MOVIE WALKER PRESS

大今良時の人気コミックを京都アニメーションが映像化した『映画 聲の形』(16)。公開館数120館という小規模なスタートながらロングヒットとなり興行収入23億円を記録した本作が、本日21時からの「金曜ロードSHOW!」で放送される。このタイミングで、本作の魅力を3つのポイントに沿って再確認してみたい。 【写真を見る】目に映るすべてが美しい…京アニの魅力が詰まった「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」も必見<画像15点> 高校3年生の石田将也(声:入野自由)は、小学6年生の時に転校生で耳が不自由な少女、西宮硝子(声:早見沙織)をいじめた過去があった。彼女の高価な補聴器を壊したことがクラスで問題となり、いじめに加担していた友人や担任教師からも犯人としてすべての責任を押し付けられ、硝子も再び転校してしまう。以来、将也は罪悪感から心を閉ざし、他人とのかかわり合いを避けて生きてきた。そんなある日、彼は訪問した手話サークルで硝子と再会を果たす。逃げる彼女を呼び止め、覚えた手話で「俺と西宮、友だちになれるかな…?」と語りかけるのだった。 ■山田尚子監督による繊細な心理描写 監督を務めたのは、テレビアニメ「けいおん!」でデビューした京都アニメーション所属の山田尚子だ。彼女の作風の一つに“繊細な心理描写”があり、時にセリフではなく、表情の変化や風景描写で、あるいは顔を映さずに手元や足の動きだけで心情を伝えようとする。 本作では、“いじめ”や“障害”という重いテーマを扱ってはいるが、中心となるのは少年少女が壁を乗り越え、成長していく姿。将也と硝子が会話するシーンでは、右端と左端に寄った構図でそれぞれ一人を映し、画面の切り替えを繰り返すことで、ふたりの不器用さや微妙な距離感を生みだしている。また、人と話すのが怖い将也の主観として、周囲の人々の顔を“×”印で隠した演出がされているのだが、彼が友人と少しずつ打ち解けることでその印が剥がれていき、これがラストの大きな感動にもつながっている。 ■ため息が出るほど美しい風景描写 京都アニメーションといえば、細やかなキャラクターの動きや美麗な風景描写も魅力。本作でも物語の中盤で、水路に落ちた小学校時代の筆談ノートを取ろうとして硝子が飛び込み、将也もそれに続くというシーンがある。水面や水草の揺れ、泡の一つ一つまで丁寧に描かれており、そこに太陽の光も差し込むと、あまりの美しさにため息が出てしまう。 ■リアルな演技とキャラクターの心に寄り添った音楽 キャスト陣では、とくに硝子役の早見沙織の好演が光る。先天性の聴覚障害を持つ少女を演じるため、実際に耳が聞こえない人たちと会話する機会を設けたのだという。そういった役作りを経て、発声や息づかいなどが自然なものとして表現されている。 音楽では、「“きこえ”としての音ではなく、“物質”としての音、人の生理に訴える音を大切にしたい」という山田監督の希望で、電子音楽家の牛尾憲輔が起用された。通常の劇伴制作は音響監督のリクエストをもとに作曲家が楽曲を作り、納品するという流れが一般的だが、本作では脚本段階から牛尾も制作チームに参加。山田監督をはじめスタッフ陣との作品コンセントの共有を通して、キャラクターの心情に寄り添った音楽が制作された。 丁寧に作られた一つ一つのシーンそれぞれに胸に響くものがあり、将也や硝子の切実な思いや苦悩が普遍的なものとして表現されていることで、観客の共感を誘う。すでに観た方も、そうでない方も、珠玉の映像世界を堪能してほしい。 文/平尾嘉浩(トライワークス)

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