柳俊太郎、根底にあるのは「人好き」 『神は見返りを求める』で念願の吉田組:インタビュー
柳俊太郎が、ムロツヨシ主演映画『神は見返りを求める』で、クセが強いものの身近にいそうな役どころを好演した。本作は、お人よしな主人公の田母神(ムロツヨシ)が合コンで知り合った底辺YouTuberのゆりちゃん(岸井ゆきの)を手助けし、良きパートナーとなっていくが、あることをきっかけに2人の関係が「見返りを求める男」と「恩を仇で返す女」へと豹変していく様を描く。先日最終回を迎えたドラマ『ナンバ MG5』で8年ぶり共演を果たした間宮祥太朗と“壮絶な戦い”を演じ話題を集めた柳は今作では、2人が豹変するきっかけを与える新進気鋭のデザイナー・村上アレン役を演じる。吉田恵輔監督作に出演したいとかねてから思っていた柳にとっては念願の吉田組。キャラが濃い業界人をどう演じたのか。そして根底にある役者としての考えとは。※柳俊太郎の「柳」は、正しくは木へんに夘。吉田恵輔監督の「吉」は、正しくは士の部分が土。【取材・撮影=木村武雄】
念願の吉田組
――今回の役どころですが、どう捉えてアプローチされましたか。 イメージがつきやすい役で、僕のなかでは「友達にはあまりなりたくないな」って(笑)。理屈っぽいし、上から目線ですし。ただ、周りのキャラクターが、自分の人生を戦わずに逃げてきた人ばかりで、村上は戦って結果を残してきたので何か妙に説得力があるんです。いわゆる嫌な奴だけど説得力があって何も言い返せないみたいな。 ――最終的にああいうキャラクター像になったのは、現場でやってみてという感じですか。 そうですね。吉田監督が決断の早い人というか「じゃあ、こういう」という感じでシンプルに言ってくれて、あとは「感情に任せて自由にやっていいよ」ということだったので、非常に心地良かったというか、ノンストレスで現場は過ごせました。 ――そのなかでも吉田監督が求めたキャラクターの軸みたいなものはあったんですか。 村上としては、ゆりちゃんをもて遊ぶ気はないんですけど、傍から見たらそう見えるようなことをストレートに伝えたりするので、はっきり言わなきゃいけないときは、吉田監督から「ここはもっと強く言って」というアドバイスを受けて作っていきました。 ――どの作品も演じる役を愛するというのが柳さんのスタイルですが、今回は? 尊敬できなくはないんですよね。ああやって人に嫌われながら結果を残すっていうところは。一匹狼な感じだけど、慕ってくれる人がいるから。結局嫌な奴だけど、この人に頼めば間違いないみたいなところは尊敬します。ただ何度も言いますが友達には絶対になりたくない(笑)。 ――ビジネスの面では勉強になるかもしれないですけどね。 結構そういう人いるじゃないですか。だからイメージがつきやすかったです(笑) ――監督の作品に出たかったとおっしゃっていましたが、気になった作品はあったんですか。 過去作は結構好きで、『さんかく』(2010年)とか『ヒメアノ~ル』(2016年)はもちろんですし、『愛しのアイリーン』(2018年)は単純に面白いなと思って観ていたので。吉田監督の映画は抑揚がすごいというか、今回のこの映画がそうなんですけど、ハッピーからバットに行く落差がすごかったり、波が異常に面白いというか、リズムもいいし、無理な落差とかじゃないんですよね。観ている人の感情をちゃんと突く映画を撮られる方なので、今回ご一緒できて嬉しかったです。 ――出てくる人たちが実際にいるような感じで且つ面白い。 舞台挨拶で言ったんですけど、本当にユーモアのある方なので、キャラクターそれぞれがみんな濃いんですよね。それは吉田監督の発想力というか、吉田監督がユーモアのある方だからキャラクターも面白くなるんでしょうね。