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デアゴスティーニなどの物流サービスに倣って。サブスクリプション形式の展覧会「インストールメンツ」とは?

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美術手帖

 今回のコロナ禍であらゆる社会活動が停滞し、街からは賑わいがなくなったものの、それを補填するようにUberEatsの配達員を見かける機会が増えた。実際にUberEats以外にもAmazonといった物流に関する事業は、全体的に売り上げが増加しているという。  このような物流サービスはいまに始まった話ではなく、人類は有史以来物流を活用しながら様々な文化を発展させてきた。互いに固有の資源や未知なる文化を求める交易の末に、人類がユーラシア大陸を横断しシルクロードを形成したのは紀元前のこと。たとえばアカイア式円柱に見られる文様がアラベスクとなり唐草文様として日本へ伝えられるなど、物流による文化交流はさらに新たな文化を花開かせていたことが見て取れる。  サブスクリプションサービスも物流の一形態といえるだろう。定額料金を支払うことで一定期間サービスが受けられることを保証するこのサービスは、新聞や牛乳配達をはじめ、イタリアのデアゴスティーニ社が始めた分冊百科・パートワークなども含まれる。  このように2000年以上、あるいは有史以来連鎖し続けている物流の歴史を顧みて、石毛健太、光岡幸一、吉田山の3名が新たなアートプロジェクト「インストールメンツ」を立ち上げた。美術作品や詩の制作、またキュレーションなど多彩な活躍を見せる3名による本企画は、美術館などの特定の場所を持たないエディション20部の美術展。デアゴスティーニに倣い、定額を支払った契約者20名には、6回に分けてキットが配送される。  計6回の配送で、インストールメンツは「展覧会」という制度に対する疑問の投げかけや、流通業界を覆う巨大なシステムに対するハッキングを箱に詰めるという。新たなパラダイムにおける芸術の実践を、配達サービスを介して契約者に託す試みだ。インストールメンツもまた物流の連鎖のなかに生じた新たな一手といえるだろう。

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