東京五輪1年延期で豪州、韓国サッカー界が「24歳以下」へ年齢制限変更を要求する中、日本サッカー協会の対応は?
現在はオランダで自宅待機中であることも明かした中山は、来年2月に24歳になることを受けて、同じインスタグラムへの投稿で「個人的に直面する問題は『オリンピックサッカー23歳以下の制限』がどうなるかです」と、不安と希望の間で揺れ動く心境が反映された言葉も紡いでいる。 「来年開催とすると現在23歳の身としては、24歳と年齢はオーバーしてしまいます。この問題がどうなるかという思いは、もちろん持っています。しかし、その反面ポジティブにも捉えられています。それは『チーム・個人としての準備期間が得られた』とも思っています。 下を向きそうなこの状況に、自然と上を向いて生活できている自分はいます。これは今まで事象は違えど、苦しい時期にその先にある明るい未来を信じ頑張り続け、その未来にたどり着いた時に自分に起きた事が全て繋がっていると思えた事を経験しているからです。今回も明るい未来に向かって、今のこの現状をポジティブに行動し続けたいと思います」(同) 1997年生まれの選手では、出場機会を増やそうと昨シーズン途中に当時J1のジュビロ磐田からJ2の水戸ホーリーホックへ期限付き移籍したFW小川航基や、FC東京の最終ラインに定着したセンターバックの渡辺剛らが、スポーツ紙やテレビ番組などで東京五輪への熱い思いを明かしている。 一方で週末に民放テレビの情報番組に出演した、東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長は「正直言ってサッカーは五輪よりもFIFA、ワールドカップの方にウエートを置いている」と指摘。そのうえで男子サッカーの年齢制限に対して、にべもない言葉を残している。 「他のスポーツは年齢制限なんかありません。サッカーだけ23歳以下としたのは、ある意味でサッカーのわがまま。24歳になろうと25歳になろうと、そんなこと知ったこっちゃない」 年齢制限をめぐるさまざまな動きがあるなかで、須原専務理事は「いろいろな考え方があって然るべきだと思うので、オープンに耳を傾けていきたい」とメディアブリーフィングにおける質疑応答のなかで明言。そのうえでこんな見通しを明かしている。 「FIFAやIOCからこの先、私たちの意見を求められるリクエストが必ずやあるところだと思っています。なので、まずはそういったことを待ったうえで具体的な動きをして、あるいはしっかりと関わっていって、(最終的に)決められたことについて従っていきたいと考えています」 この日の評議員会および理事会で快方に向かっていると自らウェブを介して報告した、FIFA理事を務める田嶋会長が復帰すれば新たな動きが起こる可能性もある。ただ、現状では選手たちの揺れ動く思いも十分に汲みながら、まずは混乱をきたしているはずのIOCやFIFAを尊重する形で事態を静観。具体的なアクションを待って、JFAとしての意見を初めて、そして正式に集約していく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)