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“群れない”が戦うときは手をつなぐ大人たち:映画『一度も撃ってません』の阪本順治監督が語る

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nippon.com

渡邊 玲子 数々の名優たちと重厚な作品を手掛けてきた仕事人、阪本順治監督がハードボイルドコメディに挑んだ。『探偵物語』の丸山昇一脚本による『一度も撃ってません』が、7月3日(金)から公開。18年ぶりの映画主演となる石橋蓮司が、「伝説の殺し屋」と「売れない小説家」という2つの顔を持つ主人公を、ダンディかつコミカルに演じる。「ベテラン俳優陣による大人の遊び」が詰まった本作の舞台裏を阪本監督に語ってもらった。

ハードボイルドを気取る、時代遅れの売れない小説家・市川進には、「伝説の殺し屋」という別の顔があった。だが実は市川自身は一度も人を撃ったことがなく、いつも旧友の石田(岸部一徳)から依頼を受けては、鉄工所で働く今西(妻夫木聡)に託し、標的の行動をつぶさにリサーチするのみ。ある日、石田が中国系のヒットマンから命を狙われたことから、市川にも身の危険が迫り、妻の弥生(大楠道代)にも、50年来の旧友である元ミュージカル女優のひかる(桃井かおり)との浮気を疑われる……。 映画『一度も撃ってません』には、主演の石橋蓮司のほか、大楠道代、岸部一徳、桃井かおりと、長年にわたって日本映画界を支えてきたベテラン俳優陣と、佐藤浩市、妻夫木聡ら実力派が顔をそろえる。共通項は「原田芳雄」。2011年に他界した名優(遺作は阪本監督の『大鹿村騒動記』)の人脈に連なるメンバーだ。

「強面俳優」石橋蓮司の魅力を喜劇で

――企画の発端について教えてください。 「今回の企画は石橋蓮司さんありき。いつも『いま俺は誰を撮りたいんだろう?』というところから入るんだよね。誰を演出してみたいか考えたときに、蓮司さんの世代の顔が浮かんだ。真剣に“遊ぶ”ことを心得ている役者さんって、いまや少ないんです。あの人を主役にして、まだまだ面白いことができるぞと。今回はその架空性の中で軽妙に遊ぶことを目指しました」 ――阪本監督だからこそ集まったキャストと言えますよね。 「みんな昔から原田芳雄さんの家に集まっていた面々なんだけど、あの人たちには僕のことがバレてるし、こっちはそれぞれの癖を知っている。ツーカーの仲だからできる映画ではあったと思います。蓮司さんと芝居を交わすことの喜びと、気の抜けなさと、その両方を学べることを、共演者も期待して集まってくれたんじゃないかと」 ――今回の脚本は『探偵物語』の丸山昇一さんが手掛けられていますね。企画を立てるにあたり、どこに一番ポイントを置いたのでしょうか。 「5年くらい前、別作品の打ち合わせで会って。僕が『蓮司さん主演でやりたいですよね』って言ったら、丸山さんから「伝説の殺し屋。でも実は一人も撃ったことがない」っていうプロットが出てきて、「それ、面白いじゃないですか!」と。シリアスなものを蓮司さん主演でという発想もあり得たかもしれないけど、彼が持つ“おかしみ”を発揮してもらうには、喜劇という形を取った方がより際立つ。喜劇といっても“フリがあってオチがある”ということじゃなくて、主人公がカッコつけてキメようとすればするほど、笑えるような話になればいいなと思って」

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