ドイツと日本「テレワーク格差」が拡大したワケ
コロナ禍により日本でも浸透し始めた「テレワーク」。しかし、勤め先の方針により、なかなかテレワークに移行できず、いまだにコロナ禍以前と同様「毎日出社する」ワークスタイルから脱却できない人も少なくありません。 一方で、少し前までは日本と同様「テレワーク小国」だったドイツは、コロナ禍を契機に一挙「毎日出社しない働き方」が浸透し、「テレワーク大国」へ進化を遂げました。 ドイツ人の働き方から日本人が学べることとはなんでしょうか? 『ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか』を上梓したドイツ在住歴30年超のジャーナリスト・熊谷徹氏が、現地・ドイツからレポートします。
■ドイツで今起きている「テレワーク革命」 日本では多くの会社員が、2020年春のコロナ・パンデミック第1波で、生まれて初めて長期間の在宅勤務(テレワーク)を経験した。 実際にテレワークを体験した方は、どんな感想を持っただろうか。「同僚としゃべったり、ランチに行ったりできないのでつまらない」「1日中、自宅でPCの画面を見つめているのは、気が滅入る」と思っただろうか。中には「毎朝すし詰めの満員電車に乗らなくていいことはありがたい」とか「家族と一緒に過ごす時間が増えたので、うれしい」と感じた人もいるかもしれない。
だが2020年夏以降、日本ではテレワークに関する議論は下火になっているように感じる。2021年1月に日本でも新型コロナウイルス変異株も見つかり、毎日の新規感染者数が増えた。東京や大阪などでは2度目の緊急事態宣言が発出されたにもかかわらず、早朝の通勤列車は相変わらず混雑していた。技術的にテレワークが可能なのに、上司から出社を求められている会社員は少なくない。 上司や同僚の前では大きな声で言えなくても、心の奥底にある本音の部分では、「1週間のうち、数日は自宅で働ければいいな」と感じている人は、多いのではないか。