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懐かしの携帯電話etc.、90年代のガジェットをアップサイクルして発信するウクライナ人アーティスト。

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VOGUE JAPAN

90年代に未来を感じさせてくれた懐かしの携帯電話。しかし今、これらのガジェットはノスタルジックな気分に浸るだけではなく、わたしたちの未来と資源を考えるきっかけを示唆している。今回はいつもの連載スタイルとは少し視点を変え、サステナブルなファッションにも通じるユニークなアイデアをもとに、“アップサイクル・アート”を発信するウクライナ出身のアーティスト、ハンナ・ザルマが目指すサステナビリティを訊いた。

思わず「懐かしい!」と叫んでしまいそうなNOKIAの携帯電話、アンテナ付きの折りたたみ式携帯電話、初期のiPod、グレーのパソコンキーボードetc.。今となってはレトロに感じるガジェットは、20年程前にはテクノロジーの最先端だった。見ているだけでノスタルジックな気持ちにさせてくれるのと同時に、現在では”ガラクタ”としてゴミ捨て場に放置されてしまう存在かもしれない。 今、“時代に忘れ去られたテクノロジー”を使用したアート作品で注目を集めているのが、ウクライナ在住のアーティスト、ハンナ・ザルマ(Hanne Zaruma)だ。ウクライナ人と中国人のハーフである彼女は、地元リヴィウで法学部の学生として、またモデルとして活動していた際に、リサイクルショップや蚤の市で90年代の携帯電話や古いパソコンのキーボードと出会ったという。 ガジェットマニアでもITの専門知識があるわけでもない彼女は、古いガジェットのデザインに魅了され、ヴィンテージのバッグやシューズを装飾するパーツとして使うアイデアを思いついた。そして、「テクノロジーファッション」として自身のアートプロジェクトをスタートさせたのだ。

「私の作品は全て不要になったものから作られています。現代人は常に新しいものを求め、古くなったものをゴミとして捨ててしまうことを意識していません。私はそういった不要となってしまったものたちをアート作品の一部として再利用することで新しい命を与えていると考えているんです。パソコンのキーボード1つから、8つもの作品を誕生させることができ、それはまるで魔法をかけたようなことだと思っています」 そう語るハンナにとってのサステナビリティとは、未来と資源を考えることであり、一度使い終えて不要となったものを再び違う用途で再利用できるように考えること。完全にデジタル化された現代社会は、常に新しい技術とテクノロジーに囲まれ、古いものは容赦なく捨てられていく消費社会であるともいえる。時代を遡るような彼女の活動は、一見デジタル社会へのアンチテーゼのように見えるが、古いものから新しいものを作り出すことによって、テクノロジーを用いて人間の身体や能力を高めようという思想「トランスヒューマニズム」に貢献出来ると考えているという。 残念ながら、彼女の作品を購入することは叶わないが、インスタグラムの投稿から“アップサイクルなアート”が発信する未来へのメッセージを感じ取ってほしい。

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