〝浄化作戦〟では恰好のターゲットに…街中で激減する「ピンサロ」がそれでも根強い人気な理由
人目につかないようにひっそり営業する店も
10月1日、東京・荻窪にピンサロ『79.5』がグランドオープンした。この店がある場所で以前営業していたのは平成から令和にかけての都内随一の名店『ナックファイブ』である。6月30日に閉店して以来、3ヵ月後にリニューアルオープンしたのだ。行列ができる超人気店の復活に、ピンサラー(ピンサロファンのこと)たちは歓喜した。 【NK流】すごい…本サロで全国的に知られた街の〝華やかなりし頃〟 「まだ残っているが〝目立たなくなった〟」 10月下旬から11月中旬にかけて、東京の主要なピンサロ地帯を取材した際の、率直な感想である。新宿、池袋、巣鴨、大塚、五反田、蒲田、高円寺、荻窪、八王子、立川、赤羽、北千住と巡ったが、全体的に数が減っているうえ、10年前に比べ〝ひっそり〟営業している。 店頭に看板は出すが派手なネオンを灯さない店や、店舗が入るビルの入り口の前ではなく奥に看板を置き、遊びに来た人だけが分かるようにしている店が強く印象に残った。八王子には店頭の看板に店名を明記していない店もあった。ホームページを見て来る人や、常連客だけを相手にしているようだ。 取材中に知ったことで最も驚いたのは立川の某ピンサロの件。9月6日にグランドオープンした新店舗が、営業開始からわずか2時間ほどで摘発されたという。ピンサラーの期待が大きかっただけに、ガッカリ具合も大きかったようだ。 ピンサロはここ20年ほどで大幅に減少している。昭和後半から平成前半にかけてはお手軽な風俗の代表格であり、全国の至る都市に林立していたが、歓楽街の環境浄化、出張型風俗の台頭などにより年々数を減らしている。最近は摘発が続き、’21年の東京オリンピック開催前後には都内の渋谷、上野、巣鴨、蒲田の店が摘発され、’25年の大阪・関西万博開催まであと半年ほどとなった10月には、大阪の京橋、堺東の店が公然わいせつの疑いなどで、実質的経営者と従業員と客ら男女計18名が逮捕された。 ◆現在でも「行列のできる店」はある 公然わいせつによる摘発を逃れるため、多くのピンサロでは女性従業員と男性客が全裸にならなくなった。以前なら女性も客も気軽にスッポンポンになり、ヘルスと同じようにお互い全裸でのプレイが行われていたが、ここ数年は過激なサービスにブレーキがかかっている。 ピンサロは法律上は「社交飲食店」となっており、ソープやヘルスとは異なる営業許可を受けている。建前は飲食店だが実際は性的なサービスがあり、形態が極めてグレーであるため、〝違法店舗〟として摘発される恐れが常にある。そのため、大繁盛店が目立ちすぎて摘発されたり、国際的なイベントが開催される時期になると、「風紀の乱れを抑えるとともに治安の維持を図る」ための歓楽街の浄化作戦では恰好のターゲットとなり、次々と摘発が起きる。 だが、数は減っても、ゼロにはなっていない。若者からシニア層まで、ピンサロの人気は驚くほど根強い。その理由は、料金が低価格で気軽に行けるうえ、昭和レトロな雰囲気の中で〝花びら回転〟や〝多彩なコスプレイベント〟といった独特のサービスを受けられるからだ。首都圏には開店前に行列ができる店が今もある。 ピンサロ店側も生き残りを懸けて、その経営戦略を磨き続けてきた。常連客を飽きさせないために行う割引やコスプレなどのイベントの数とバラエティの豊かさは、他の店舗型風俗業種の比ではない。 最近は定番の学園制服に加え、和服コスプレの専門店が流行っており、全国的に増えている。また、池袋の『ホテピン』、新宿、錦糸町、小田原の『レンタDEピンサロ』、秋葉原の『Cawaiiハイ!スクール リターンズ 秋葉原校』、赤坂の『ランチdeピンサロ』、蒲田の『デリピン ハワイ』など、ホテルの部屋でプレイする出張型のピンサロも人気となっている。さらに、上野の『WOWOW UENO HEALTH STATION(ワウワウ ウエノ ヘルス ステーション)』のように、既存のヘルスが短時間&ソフトサービスで低価格の〝ピンサロコース〟を設置しているケースも見られる。物価の高騰が続く今の時代に、コスパが良いピンサロは、〝古くて新しいお値打ちな風俗〟として見直されている。 なお、ピンサロにはネットが社会に浸透した現代でもホームページを持たずに営業する店がたくさんある。ネットで店を紹介しなくても客が来るからだ。長い間地域に密着して営業するピンサロは、客が自宅や職場から散歩感覚で行ける〝オラが街の遊び場〟であり、ネットを見て調べてから行くような店ではなかった。その名残が今も残るのだ。 有料版『FRIDAY GOLD』では、生駒氏が厳選した「まだ行ける」全国各地のピンサロ店65店を紹介している。 取材・文・写真:生駒明
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