「人工流れ星」ってどうやって作るの? 2019年初夏にも広島上空で実施へ
人の手で流れ星を夜空に飾る世界初の「人工流れ星」の計画が進んでいます。ベンチャー企業「ALE(エール)」(東京都港区)が進めている事業で、2019年初夏にも広島県の瀬戸内地域上空でイベントが行われる予定です。 宇宙ベンチャーALE 岡島社長「人工流れ星で見たことのない景色作りたい」
宇宙を漂う大きさ数ミリメートルほどのチリが、地球の大気圏に入ってくると、大気との摩擦で明るい光を放ちながら燃え尽きます。これが“天然”の流れ星です。 これに対し、同社が計画しているのは、直径約1センチほどの金属の粒を、チリの代わりに人工衛星から放出。地球に落として流れ星を発生させます。開発中の粒の材料は企業秘密。粒の重さも材料が特定される恐れがあるとして非公開です。現在、燃焼実験中で、粒に使う材料を年内に決定し、製造を始める予定です。 位置や速度、タイミングを制御しつつ、人工衛星の進行方向とは反対側から粒を放出します。高度を下げつつ約15分で大気圏に突入し、輝きながら燃え尽きます。
粒を打ち出す人工衛星は2018年7月に完成の予定です。大きさは、60×60×80センチメートル。重さは約65キログラムで、約300~400個ほどの粒を搭載できます。2018年末から2019年初旬に打ち上げます。 人工流れ星を積んだ人工衛星は高度約400キロメートルを飛行、北極と南極の上空付近を通り、衛星の軌道面と太陽の方向とが一定になる「太陽同期軌道」で1日に地球を16周します。世界各国の上空をほぼ同一の時間帯(午後8時から午後10時を想定)に通過する仕組みになっており、世界中で人工流れ星を実施できるそうです。 地上では、直径200キロメートルの範囲で鑑賞が可能。夜空が暗ければ10秒以上、明るければ5秒程度見えるそうです。流れ星の明るさは、現時点でマイナス一等星程度の見込みですが、今後さらに明るさの向上を図ります。 (取材・文:具志堅浩二)