「批判は(自分に)持ってこさせる」日本ハム・新庄剛志監督の気遣い術 巧みすぎるSNSの使い方
「SNSのやり取りかな。それは本当に大きなポイントだった」。6年ぶりのAクラスの一因を、日本ハム・新庄剛志監督(52)はこう明かした。就任以降、インスタグラムのダイレクトメッセージ(DM)を使い、1軍から育成選手まで幅広くコミュニケーションを取ってきた。「監督からメッセージが来たら『見てくれてるんだ』と張り切る、張り切る。全員をスターにしたい。それが層の厚さにもつながってくる」。選手思いの行動は時にナインに火をつけ、時に心を救った。 「NICEバッティング ありがとう」。8月10日の西武戦後、本塁打を放った郡司にDMを送った。現役時代の自身の本塁打映像を3種類添え「今日のホームランを打ったポイント、手が伸びきる手前でヘッドが走り、簡単にあれだけの飛距離が出る。直球も今日のポイントで打つコツをつかめば25本は打てるぞ」。“お手本動画”と文面を読み、郡司は「本当にすごい監督だ…」と感激した。「30本目指します!」の返信には「ゴメン それは無理男ちゃん」とユーモアたっぷりの新庄節で返した。 代走の五十幡が内野ゴロで三塁から本塁に生還しなかった時は「僕が『ゴロはストップ』の指示を出した。五十幡君は何も悪くない!」と投稿。実は裏で、誹謗(ひぼう)中傷に苦しんでいた五十幡から“SOS”のDMが送られてきていた。自らが真意を伝え、選手を守る。その行動は今も、五十幡の胸に深く刻み込まれている。 ボスは言う。「3年で5260回ぐらいブロック(機能)押してるね」。大量のアンチコメントが来ようが、信念はブレない。「SNSで大切にしてるのは(チームに)注目を集めること。選手を助けること。批判は(自分に)持ってこさせること。選手に何かあった時は僕が代わりに伝えること」。チーム変革の裏には、気遣いあふれるリーダーの姿があった。(日本ハム担当・堀内啓太)
報知新聞社