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Gショックはビジネスシーンをめざす 「生活の道具に」石津祥介氏

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NIKKEI STYLE

■スマートウオッチへの対抗策は

 ――時計ブランドでもスマートウオッチを投入する企業が増えていますし、アップルウオッチもライバルでしょうね。  泉「数年前から時計市場をスマートウオッチが侵食し始めています。時計は、技術の進化という点では踊り場にきていると思います。では、次に進むべきステップは、といえば、当然ながらテクノロジー以外の部分になるでしょう。たとえば本体への加飾技術に凝り、Gショックならではのカラーリングや模様を施したラインアップを仕込んでいるところです」  ――昨年発表した商品群でも、レーザー加工でメタルに迷彩柄を施すなど「CMF」(カラー、マテリアル、仕上げ)にこだわっていましたね。  石津「でもね、もう、腕時計の観念から離れてもいいんじゃない。僕は車がガソリンから電気に変わったのに、相変わらずガソリン時代の車の形を引きずっていることに疑問を乗っています。時計はもう、腕からも離れて、ボタンを押せば壁にも手のひらにも投影できるとか、首に付けるとか、ぐにゃぐにゃ曲がるとか、方向性を変えていってほしいよね」  ――今や服もアイテムやデザインでは新味が出しにくくなっています。温まる服、といったような、これまでにない仕組みで勝負する局面にさしかかっているのでは。  石津「着る服そのものを変えていかなければいけない。僕がまさに危惧しているのは地球温暖化です。気温がこれだけ高まると、『昔はコートなんてものを着ていたらしいね』と話す時代が来るかもしれない。腕時計も新しい意味での進化が起きるはずです。昔は部屋の壁掛け時計は大切なインテリアでしたが、今じゃ壁掛け時計はあまり見かけません。スマホでもテレビでも代用できますから」

■腕時計、発展の方向性は「自然を知る」

 ――ライフスタイルの劇的な変化が時計の革新を促しますよね。  泉「発売したばかりの最新モデルG-SQUADは心拍数を計測でき、全地球測位システム(GPS)機能を搭載しています。心拍数や走行速度から酸素の最大摂取量を算出できたり、専用アプリでスマホとつないでトレーニング管理ができたりします。本格的なワークアウトをサポートするGショックです」  石津「天気予報はないのかな。最近、天気予報を気にする人が多いでしょう」  泉「Gショックの派生ブランドである『プロトレック』は山登りの人に向けた時計で、高度や方位、気圧変化などがわかります」  ――サーファー向けに、潮位がわかるGショックもありますね。  石津「そこまで細かくなくていいな。明日の朝、通勤時の気温が分かるくらいでいいんだよ。時計はもっと生活に密着した、生活用具であるべきですよ。特に女性にはそのほうが受けそうだね」  ――まだまだ時計の機能は進化の余地がありそうです。  石津「時計は面白い。時を計る機械なのに、アクセサリー性とか、気分をどう盛り上げるかという道具でもある。僕は、これから時計は自然を知る機械として発展していくと思う。サーファー、漁師、アルピニスト。みんな知りたいことが違うから、それに合わせてどんどん機能が広がる可能性がある。でも僕は明日の天気と気温だけで十分。余分な機能は盛り込まずシンプルにして、精度を追求してほしい。だって、いつもテレビの天気予報で服装を決めて、失敗するんだもの(笑)」 (聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

石津祥介

服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

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