ラグビーW杯に挑む日本代表31人は最強メンバーと言えるのか?
元帝京大主将の堀越は昨季サントリー入り後に当時の沢木敬介監督から「将来1番(左プロップ)でジャパンになれる。1番でのスクラムが強い。それにフッカーのポジショナルスキルを考えると…(北出ら他選手が秀でている)」と左プロップ行きを命じられたが、ジョセフは、そのシーズンから堀越をフッカーとして代表に呼んできた。今夏のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)という国際大会でも、北出を外して堀越を帯同させた。 ところが最後の最後になり、このような決断を下した。 「堀越のことはコーチ陣も気に入っていて、リスペクトに値する。サントリーではプロップですが、我々としてはフッカーとして見ていました。しかし、フッカーとしてのスキルが他者と比べて劣っていました。特にラインアウトのスキルです。彼を育成しようと思い、遠征にも連れていき、色々とコーチングにあたったわけですが、スローイングというと北出の方が上という結論になりました」 ジョセフはここまで、自らの目で見た内容をもとに忠誠心と戦術遂行力を持った人員を選び、家族的な雰囲気のチームを作ってきた。 事実、指揮官の証言通り、リーダー陣を中心とした選手の主体性は過去最高とも見られる。PNCではリーチが各試合の戦う大義を講義形式で説くなどし、ジョセフが母の逝去で抜けたゲームにも自然体で臨んで白星を掴んでいる。 W杯は勝てば官軍。ミッションをクリアすれば、今回の31名はプロセスとは無関係に史上最強の日本代表と称されるだろう。 8月31日に集合予定のチームは9月6日に南アフリカ代表とのウォームアップマッチを埼玉・熊谷ラグビー場でおこない、9月20日の開幕戦を見すえる。初の自国開催となる本番ではロシア代表、アイルランド代表、サモア代表、スコットランド代表と順に戦い、初の決勝トーナメント進出およびそれ以上の結果を求めてゆく。 (文責・向風見也/ラグビーライター)