FC東京 取材カメラマンが狙う!Jリーグ2021注目選手(6)
J2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。 【動画】中村拓海選手の活躍場面のハイライト
◎FC東京
昨年は多くの若手にチャンスが与えられたシーズンだった。U23チームはJ3から姿を消したが、苦しいタイミングでこれまでのその活動が見事にトップチームに還元された。大卒ルーキーも期待通り即戦力として機能し、激しいチーム内競争が生まれた。 さらに、イレギュラーなACLのカタール集中開催、ルヴァンカップ優勝と、若手も国際部隊や大一番を経験することができた。ただ世代交代が進んだだけではなく、濃密な経験を積んだことで、今年のリーグ戦でのさらなる勝負強さが期待できる。 攻撃に目を向けると、レアンドロ、ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン、永井謙佑といった個の力で得点を奪ってきた東京は、2020年のJ1でパスの数が最も少ないチームだった。強力なタレントをシンプルに活かすサッカーは相手にとって、わかっていても止められない、という脅威になるが、わかりやすい分選手個人の質に左右されやすい。ベストメンバーがなかなか揃わなかったことでリーグ戦での総得点は47となり、長谷川健太監督が掲げていた55という数字には届かなかった。 それでも、長谷川監督は今年の目標ゴール数を55から60に増やした。試合数が4試合増えることもその根拠だが、4年目を迎えたチームに自信があるということだろう。「皆さんにお話しできることは、シャーレを掲げる、ということだけ。それ以上もそれ以下もない」とも語り、メンバーをほとんど変えずに開幕を迎えようとしていることからもそれが伝わってくる。
■注目選手(1) DF:中村拓海
中村のもともとの売りは高速クロスだ。橋本拳人が移籍して以来定まっていなかったアンカーは、森重真人がルヴァンカップ決勝で見事に役割をこなしただけでなく、青木拓矢を獲得したことでようやく落ち着きそうだ。アンカーが安定すればサイドバックはより高い位置でプレーすることができ、中村のクロスもさらに目立つようになる。 また、度胸のあるパスも魅力だ。相手がいても躊躇なくボールを通すことができる。攻撃のスイッチを入れるそのプレーは、東京のストロングポイントである強力な個の力を持つ前線を活かすのにうってつけだ。縦パスはプロになってから進化した部分だ。速くて強い東京の前線だからこそ出したパスが収まり、厳しい状況でも縦に出せる、という感覚を磨くことができた。中村のパスセンスを引き上げたのは東京の前線の選手たちであり、その恩恵を受けるのもまた彼らだ。互いに利益を享受し合い、それが個人でもチームでも好成績に繋がる。