アサド前大統領、側近や親族にも伝えず逃亡…軍幹部には直前まで「ロシア軍の支援ある」とうそ
【カイロ=田尾茂樹】ロイター通信によると、シリアの政権崩壊で後ろ盾のロシアに亡命したバッシャール・アサド前大統領は、逃亡計画を大半の側近や親族らに伝えず実行した。政権軍幹部には直前まで「露軍の支援がある」とうその説明をしていた。 【写真】シリア西部のロシア基地にいる大型輸送機、物資撤収が目的と見られる
当時の事情を知る側近ら14人の話として、13日に報じた。アサド氏は政権崩壊前日の7日、政権軍や治安部隊幹部との会合で露軍が支援に向かっていると伝え、地上部隊に持ちこたえるよう要請した。
7日の執務を終えると、大統領府責任者に帰宅すると伝えたが、空港に向かった。逃亡計画は軍精鋭部隊を率いる弟マヘル氏にも秘密だった。アサド氏は首都ダマスカスから西部ラタキアの露空軍基地に移動し、モスクワへ向かった。妻子は先にモスクワへ逃げ、アサド氏を出迎えたという。
ロイターが伝えた外交筋や当局者の話では、アサド氏は反体制派が大規模反攻を始めた翌日の11月28日にロシアを訪れ、軍事介入を要請したが、ウクライナ侵略を優先するロシアに断られた。もう一つの後ろ盾であるイランには軍事介入を求めなかった。介入を口実に、イスラエルがシリアに駐留するイラン軍への猛攻やイランへの直接攻撃に乗り出す可能性を考慮したという。