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「自殺が減っても安心はできない」 新型コロナが人の心にもたらした影響は? 精神科医の分析【#コロナとどう暮らす】

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BuzzFeed Japan

新型コロナウイルスに感染しないように人との接触を避けるようになり、私たちの日常生活は一変した。 「コロナうつ」「コロナ疲れ」という言葉も生まれ、この変化は人々の精神にも大きな影響を与えていそうだ。 ウィズコロナの時代、私たちはどのように心の健康を保っていけばいいのだろうか。 依存症や自傷行為、自殺対策にも詳しい国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長の松本俊彦さんにお話を伺った。 ※インタビューは6月10日午後、Zoomで行い、その時点の情報に基づいている。

患者には良い影響も悪い影響も

ーー先生が患者さんを診ていて、コロナの影響を感じることはありますか? 大きく分けると影響の出方は2種類あるなと思っています。コロナの影響で具合の良くなっている人と悪くなっている人とに分かれるということです。 一つは、うつとか引きこもりとか、今までなかなか社会参加できないで焦っていた人たちにとっては、周りが動いておらず、社会が回っていないという状況が良い方向に働いているという面です。 なかなか就労できないで焦っている人も、そもそも今は仕事を探してもない状況にあります。 そうすると、焦りや不安が少し緩和されて、いつもよりも状態が少し良くなっている気がします。 健康な人間が自粛生活にいらだちながら家にこもっている中で、割と楽な気持ちでステイホームしている人たちがいたなという印象があります。 この方たちが今後社会が動いていくにつれてどうなるかは、慎重に見ていかなければいけません。 もう一つが、私自身が専門としている依存症の人たちへの影響です。 この方たちはまた別の影響を受けています。緊急事態宣言が出る少し前から、公的な集会所や公民館の会議室のようなところが使用できなくなって、自助グループのミーティングが開けなくなったのです。 もちろん一部、教会のような公的施設とは違うところを使っている自助グループもあったのですが、やはり集団で集まること自体、危険が高い。 自助グループでは、久しぶりに会った仲間と握手をしたり、ハグをしたりすることが頻繁にあったのですが、それは超濃厚接触になってしまいます。それで全体が自粛に入ってしまいました。 私は常々、「依存症は孤立の病だからつながりが大事だ」と言ってきましたけれども、自粛期間中はつながりがない状態になるのです。 有志の仲間たちが、Zoomなどを使ってオンラインのミーティングなどを開いています。それも非常に貴重で有用だとは思うのですが、オンラインだとだめだという人もいます。 ーーどうしてですか? 患者さんたちがよく言うのですが、自助グループのミーティング自体もいいのですが、意外に大事なのは、終了後、最寄りの駅まで一緒に話しながら歩いていったり、一緒にお茶を飲んだりすることなんです。 「フェローシップ(友だちづきあい)」というのですが、フェローシップがあることがミーティングの楽しみだったりします。 我々がやっている集団療法もそうなのですが、プログラムそのものよりも、プログラム前後の雑談とか一緒に帰るということが大事なんです。それが全然できなくて、「やっぱりオンラインでは寂しい」という人たちもいます。

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