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「出産したら競技は無理。そんな声に負けない」苦しみ乗り越えたママ選手・高木エレナの挑戦

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REAL SPORTS

実戦復帰で味わった“プレーすることの喜び”

――具体的にトレーニングのメニューはどのように追加していったのですか? 高木:ランニングも3分から始めました。トータル10分走るのですが、3分走って1分休むという流れでトータル10分になるように。それがトータル15分になり、インターバルまでの走りが5分と少しずつ負荷が上がっていく流れです。 ――きちんと体を動かす筋力をつけてベースをつくり、チーム参加のタイミングでハンドボールという競技をプレーする上で必要な体づくりを行った。 高木:そういう流れでした。 ――高木さんの中では順調に進んだのですか? 高木:順調でしたが、正直にいうと戦術面が絡むと追いつかない部分はありました。 ――なるほど。 高木:もともとあった股関節の痛みがなくなったのは一番大きかったです。妊娠前からその股関節痛に悩まされていたので、出産後にケガなくシーズンを終えられたのはよかった。 ――痛みの原因は何だったとお考えですか? 高木:体の基礎がうまくできていなかったのが大きかったと思います。産後復帰プロジェクトの中で基礎トレーニングの重要性に気づきました。 ――日本選手権では、いつ頃に復帰されたのですか? 高木:12月24日からスタートで、25日の試合の後半に20分くらい出場しました。 ――試合に出た時の気持ち、また自分のプレーの評価は? 高木:出場できたことは本当にうれしかったです。ただ集中力というか、ずっと状況を細かく分析しながら、ゴールキーパーとして局面で関わる時に力を発揮することをずっと継続することが難しいなと感じました。試合に慣れていかないといけないな、と。動けているなとは思っていても、ビデオで振り返ると動けていなかったり、いい準備ができていなかったり、そこが課題でした。 ――試合勘みたいなもの? 高木:試合の流れで「ここを決められたら厳しいな」「ここを止めたら流れを取り戻せるな」というものは、実戦の中で起こる状況に対応していくことでしか取り戻せない部分です。 ――練習でも、トレーニングマッチでも難しい? 高木:そうですね。難しいです。 ――試合復帰は何試合くらいですか? 高木:新型コロナ(ウイルスの影響で)で2試合なくなったので、14試合です。 ――14試合の内訳ですが、ずっと後半の一部ですか? 高木:1月の半ばくらいまでは出場時間を伸ばしていく流れで、途中出場を続けていました。2月の後半からはスタートから出場しています。その中でよいところも悪いところもありました。でも、負けた試合でも個人的によかった試合もありましたし、時間が経つほどコンディションも上がっていきました。 ――闘争心といった部分はちゃんと出てきたのですか? 高木:やるからには出たいし、勝ちたい思いはありました。でも、夫に話をすると「そんなに甘くないよ」とたしなめられて、「まだまだそんなんじゃ試合には勝てないし、ゴールキーパーとしての責任も果たせないよ」と厳しい言葉をかけられていたので、「とにかく練習でがんばるしかない」と努力していました。ベンチにいても目的はチームが勝つことなので「この状況で何ができるのか」を考えて「後輩に声をかけるべきか」など1試合ごとに向き合ってやれることをやっていました。  途中からだと「こんな感じかな」とイメージして準備できるのでリラックスして入れますが、やはりスタートから出ると緊張感が高いです。特に最初にスタートから出場した時はめちゃくちゃ緊張しましたね。2回目からはそれがわかっているのでコントロールして試合に入りました。もともとチームでメンタルトレーニングをずっと行っていたので「自分をどうコントロールするか」の部分は苦手ではなかったし、出産して心の折り合いをつける術も身につけたので、うまく試合に適応していけたとは思っています。 ――今シーズン振り返って自分をどう評価していますか? 高木:ケガなくシーズンを終えたのはよかったです。でも、試合をすべて勝ち切れたかと言われると自分が出た試合でも全部勝ったわけではないですし、できなかったプレーもたくさんありました。応援してくれた人もいっぱいいましたので、その期待に応えられなかったのは選手として悔しいです。それを来シーズン、しっかり応えられるような選手にならないといけないなと決意を新たにしています。 <了>

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