Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

「出産したら競技は無理。そんな声に負けない」苦しみ乗り越えたママ選手・高木エレナの挑戦

配信

REAL SPORTS

体を動かす基礎を高めたことが痛みをなくした

――産後復帰の様子をテレビ番組で見た時に股関節か、骨盤かに力が入らないとコメントしていました。やはり子どもを生んだことによる体の変化からそういう状態になったんですか? 高木:何ていうんだろう……。引き締まりがない体というか、ドローンという感じで、「何をしても股関節が外れる」ではないですが、グラグラしているような感覚がありました。もともと痛みがあったのもありますけど。だから、「しっかりと股関節を絞めていかないといけない、体幹も鍛えていかないと競技復帰ができないよね」と思っていました。 ――アスリートとしては上半身と下半身のバランスをつかさどる重要な部分です。 高木:私は何も考えずに妊娠期間を過ごしてしまったので、「体重やコンディションの管理が必要だったかな」と。少しでも何かに取り組んでいれば、もうちょっと競技復帰が早まったのかなとは感じました。 ――バイクをしながら体の感覚を取り戻して、負荷が高いトレーニングを始められたのはどのくらいからですか? 高木:出産して5カ月目からクラブのトレーナーと一緒に産後復帰のプログラムを開始しました。3カ月間くらいは個人での体づくりです。自重でのスクワット、バーを持ったデッドリフトやスクワット、ハイクリーンなどはしていましたが、重さを上げていったのは6カ月目くらいからです。基礎力を上げるために徐々に負荷をかけていったのは出産して7カ月目くらいからですね。 ――少しずつ負荷をかけていき、出産前と変わらない練習をできるようになったのはどのくらいの時期ですか? 高木:12月に出産して翌年5月から体を動かし始めたのですが、7月くらいまでは順調だったんです。基本的に息子と一緒にトレーニングに行っていました。寝返りを打つくらいでしたから。ただ8カ月目からは子どもが「ずりばい」を始めて行動範囲が広がったくらいからトレーニングに集中できなくなりました。だから、8月の1カ月くらいはまともにトレーニングができていません。  それでクラブに相談したら、「三重にはファミリーサポートがあるよ」と教えてくれて、それを利用して子どもを預けることにしました。それが9月からなので、そこからは練習に週3回参加するようにしました。少しずつゴールキーパーに入るようになって、本格的にプレーができるようになってきたなという感覚を持ち始めたのは11カ月目くらいからですかね。 ――そんな経緯が……。5月からスタートしているので、半年間くらい。 高木:昨年12月末の日本選手権を目標に復帰を目指していました。「焦らず、自分のペースでトレーニングをしていこう」というふうに考えていました。子どもを預けたり、育児をしたりしながらの復帰活動だったので、休みを入れたりしながら本当にクラブスタッフにいろんな理解をしてもらって続けることができました。そのおかげで「何とか試合に出場できる体をつくる」ことができました。ただ、あくまでベースとしての話です。 ――トレーニングを積み重ねるなか、どんな気持ちで取り組んでいたのですか? 高木:実は、結婚する時もいろいろと批判的な声をかけられることがありました。「結婚してアスリートなんて続けられないよ」と言われていたので、私はそういう声に負けたくなくて、そのシーズンはベストパフォーマンスを発揮できました。だから、出産した時も「無理だよ」という声に負けたくなかった。  もちろん精神的にきつい時もありましたけど、「本当にダメならやめよう。でも負けたくない」という気持ちが強くありました。試合には夫も子どもも見に来てくれましたし、私もそれを見るのが楽しくて、「よっしゃ、がんばろう」という姿を2人に見せたかった気持ちが強いです。 ――結婚した時にそんな批判的な声が? 高木:男性から「競技は無理だよ」と言われたことがありますし、アスリート同士でも「よく結婚したね」とか「育児や家事をしながら競技を続けていくのは難しいよ」と言葉をかけられたこともあります。ただ実際に「両立しているか」と問われたら全然していないんですけど(笑)。スポーツに限らず、現実的には仕事でも女性が何かを続けることに対してマイナスなイメージは多いです。でも、このままの状態でも意味がないので、何かを成し遂げていけば何かが変わるし、「他の女性もがんばれるのかな」という思いもありました。 ――もともとそういう価値観を持っていたのですか? 高木:小さい頃から「いろんなことに挑戦したい」タイプではありました。「いいな」「楽しいな」と思えば、まずやってみようと。まぁ何も考えずに行動するタイプとも言えますが(笑)。あと、最近はSNS上に、出産しても競技を続けている海外の女性アスリートがユニフォーム姿で子どもと一緒に撮った写真や動画を投稿している選手も多いです。そういうものを目にすると「私もユニホームを着て、子どもと一緒に写真に撮りたいな」と思ってはいて、何かに挑戦してみたい気持ちは持っていました。 ――夫のサポートも大事だと思います。 高木:基本的に応援してくれます。でも、私自身が精神的につらそうな様子だと「休んだら」とサポートしてくれます。「こういう状態だったらこういうふうになるよね」と、冷静に導いてくれる感じです。どうしても私が突き進んでしまうタイプなので、それを抑えてくれることが多いです。 ――本当に息子さんも含めて家族で産後復帰の道を歩いた感じですね。 高木:そうですね。試合の時も夫が面倒を見てくれるので、すごく理解されてサポートを受けています。少なからず夫自身もハンドボールをプレーしていた選手であることが大きいと思います。

【関連記事】