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『スネーク・フライト』悪趣味!? いや、オモシロい!毒ヘビパニック映画の魅力

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CINEMORE

サミュエル・L・ジャクソンの代表作!?

 “B級映画”と聞くと、どういう印象を持たれるだろう? 安っぽくてバカバカしいから見たくないという人もいれば、大好物!という人もいる。30年前なら、前者の映画ファンが多数派だったろう。だが、クエンティン・タランティーノがB級映画から多大な影響を受けたことを公言するようになり、その割合は変化して、その地位は少しばかり向上した。  タランティーノ作品の常連俳優サミュエル・L・ジャクソンも、B級映画をこよなく愛する映画人として知られている。彼が主演した2006年のパニック・アクション『スネーク・フライト』は、そういう意味では文句なしに彼の代表作だ。原題は“Snakes on a Plane(飛行機の中のヘビ)”。ジャクソンはこのタイトルだけを見て、脚本も読まずに出演を快諾した……というエピソードが残されている。  お話はB級映画らしく、いたってシンプル。舞台はハワイからロサンゼルスに向かう旅客機内。これに乗っている殺人事件の証人を消すため、マフィアが大量の毒ヘビを機内に潜入させるという荒技に打って出た。離陸してほどなく、毒ヘビの群れは客室内になだれ込み、乗客たちをパニックに陥れる。計器は破壊され、機長は噛まれて死亡し、墜落の危機がパニックを加速させる……という物語。  証人を護送するために機に乗り込んでいたFBI捜査官がジャクソンの役どころ。この主人公が、とんでもないパニックに立ち向かうことになる。ジャクソンはアメリカでは下品かつ粗野なセリフをかっこよく決めるスターとして人気があり、本作にも「このクソ(=motherfuckin’)飛行機から、クソ(=motherfuckin’)蛇どもを一匹残らず放り出してやる!」というセリフがあるが、この場面は米国の劇場では拍手喝采だったという。

撮影を盛り上げた、ネットからのファンの声

 “Snakes on a Plane”というタイトルに魅了されたのはジャクソンだけではなかった。製作発表がニュースになった時点で、多くの映画ファンが食いついてきた。わかりやすいタイトルの利点というか、そこにB級映画特有の強烈な匂いを感じとった人は少なくなかったのだ。インターネット上では気の早いファンがアニメで予告編を作ったり、グッズを作ったりと、ちょっとした“祭”状態に。  だからこそ、製作の途中でプロダクションがタイトルを“Pacific Air 121”(=旅客便の名前)と変更すると発表したときは炎上騒ぎが起こった。製作陣にとって、タイトル変更には理由があった。ロケ地で雇ったスタッフの中には、“Snakes on a Plane”というタイトルを聞いた瞬間に、やる気をなくす者が現われだしたからだ。バカっぽいタイトルが、内部の人間の士気に悪影響を及ぼすとなれば、製作側からすれば大問題。そこでタイトルを変えることになったのだが、ネット上のファンは「タイトルを変えるな!」と声を上げる。  プロデューサー陣はこのネット上でのバズを逆手に取ろうと考えた。ファンの非難の声をしばらく放置したのち、ジャクソンに“俺はこんなタイトルの映画に出演するつもりはない”と宣言させてから、改めてタイトルを“Snakes on a Plain”に戻す……というシナリオだ。結果的に、これはうまくいった。主演スターはファンの喝さいを浴びて、映画はさらに注目を集めることになる。  もちろん、ネット上のファンの声を映画の製作者たちもチェックし、映画の内容にそれを反映しようと努めた。本作をR指定作品で作り上げようと決めたのは、ファンの声に後押しされたからであることを、監督のデビッド・R・エリスは認めている。ジャクソンも「ネットでの盛り上がりが撮影を後押ししてくれた」と語る。  彼らは進んでファンの中に分け入り、タイトル変更に怒ったファンが勝手に作って売り出したTシャツを気に入って購入した。ある意味、『スネーク・フライト』は製作の当事者たちとファンが、ともに作り上げていった映画ともいえるだろう。かくして全米公開された本作は週末の興行チャートでナンバーワンの座を射止める。

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