ガザ停戦、年内の合意に意欲 ハマスも譲歩か 交渉仲介の米高官
パレスチナ自治区ガザ地区の停戦交渉を仲介する米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は12日、訪問先のイスラエルでネタニヤフ首相と会談した。会談後の記者会見で、イスラエルとイスラム主義組織ハマスとの停戦交渉について、「ネタニヤフ氏は合意する準備ができていると感じた」と述べ、年内の合意成立に意欲を示した。 また米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは12日、ハマスが交渉で、ガザ地区でのイスラエル軍の一時的な駐留を初めて認めたと報道。これまでは撤退を主張しており、譲歩した格好だ。停戦に向けて動いているトランプ次期米大統領も停戦の成立に楽観的な見方を示しており、ここに来て動きが加速している。 報道によると、イスラエルとハマスの間では、60日間の停戦のほか、ハマスが拘束する人質のうち最大30人を解放することなどが検討されている。米メディアによると、ハマスは人質100人ほどを拘束しているとみられ、イスラエルの情報機関はこのうち約半分が生存していると考えているという。 米ニュースサイト「アクシオス」によると、ネタニヤフ氏は会談でサリバン氏に、「ハマスが青信号を出せば、すぐに取引を実行する用意がある」と強調したという。 サリバン氏は記者会見で、これまで強硬だったハマスの交渉姿勢に変化がみられるとし、「合意は実現しないかもしれないが、両者に政治的な意思があれば合意は可能だと信じている」と説明。一方、ネタニヤフ氏が合意の成立の時期をトランプ政権が発足する来年1月20日まで遅らせるとの見方は否定した。 またトランプ氏は12日に公表されたタイム誌のインタビューで、「中東の問題はロシアとウクライナで起きていることよりも対処しやすい。非常に建設的なことが起きていて、解決に向かっていると思う」と語った。 一方、ロイター通信は西側諸国の外交官の話として、「合意は具体化しているが、一握りの人質の解放と一時的な敵対行為の停止にとどまるだろう」との見方を伝えた。【ワシントン松井聡】