松本抜きでも「水曜日のダウンタウン」が強い理由 パワーダウンせずに世間の話題にのぼり続けている
■番組の面白さの秘密 番組のコンセプトは「説を検証する」というシンプルなものだ。プレゼンターとしてスタジオに現れた芸人が、1つの仮説をプレゼンする。そして、その検証の過程がVTRとして流される。最後にスタジオにいるパネラー陣がそれについてコメントをする。 この番組の面白さの秘密は、「説」自体の面白さと、それを検証する過程の面白さに分けられる。説のフレーズを聞いただけで笑ってしまうようなものもあれば、純粋に結果が気になるようなものもある。「説」という何にでも対応可能な受け皿の広いフォーマットを用意することで、さまざまなテイストの企画を試すことができる。
この番組の特徴は、説の立証をある程度まで厳密にやっていくことだ。出演するタレントにヤラセっぽい挙動があれば、そこを放置せず、むしろ積極的に取り上げて指摘していくことで、そのやり取り自体を面白いものとして見せたりする。そのあたりの臨機応変さと誠実さが、この番組の人気の秘密である。 説によっては、検証がうまくいかなかったり、はっきりした結論が出なかったりすることもある。そういうときにも、結果そのものを強引に変えてしまったりはせずに、見せ方を工夫することで、何とかオチをつけようとする。
通常であれば、ほとんどのバラエティ番組において、企画はあらかじめ着地点を定めておいてから走り出すものだ。だが、『水曜日のダウンタウン』ではあえてそれを行わない。 もちろん、VTRを作るための下準備や後処理はきっちりやるのだが、現場では起こったことをなるべくそのまま撮ろうとする。そこで生じたことをそのまま捉えて、どう面白くするかは後処理のときにやればいい、という考え方だ。この徹底した割り切りが、この番組独特のカラーになっている。
また、この番組では一般的な倫理観や常識の限界に迫るような、チャレンジングな試みもたびたび行われている。ときにはそれが世間で問題視されたり、批判の対象となることもある。 しかし、番組側はその挑戦的な姿勢を崩すことはない。すでに番組開始から10年を超える長寿番組になっているが、特定の「定番企画」を何度も繰り返し行ったりして守りに入るようなことはなく、新しい企画をどんどん作っている。 ■番組の芯のクオリティが高い