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ポスト安倍政権で「北方領土返還」はますます後退するのか

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bizSPA!フレッシュ

 8月28日、安倍晋三首相が健康上の理由から辞任することを発表した。7年8か月に及ぶ長期政権をどう評価するかは人によって異なることだろう。  北方領土問題の解決において、安倍首相は非常に熱心に取り組んできた。しかしロシアに関する専門家の間では、次期首相が安倍首相ほど真剣に取り組む可能性は低く、日露関係は後退するとの見方が上がっている。

ロシアの指導者たちは日本を牽制

 安倍首相は2018年11月、シンガポールでウラジーミル・プーチン大統領と会談。安倍首相がロシアを訪問すること、また、1956年の日ソ共同宣言に基づいて、平和条約の締結、北方領土の解決に向けて交渉を加速化させることで合意した。  だが、プーチン大統領は会談の翌日、「日ソ共同宣言には平和条約の締結後、歯舞・色丹の2島を日本側に引き渡す文言が明記されているが、何を根拠に、またどちらの主権になるかなどは書かれていない。よって今後さらなる議論が必要だ」という認識を示した。  また、ロシアのドミートリー・メドベージェフ首相(当時)は2019年8月、北方領土の択捉島を4年ぶりに訪問。5時間滞在し、「ここは紛れもなくロシアの領土であり、日本が抗議すれば抗議するほど、ロシアの指導者たちが北方領土を訪問する機会は増えることだろう」と日本を牽制した。

ロシアは安全保障上、返すわけにいかない

 このように、ロシアは北方領土を譲らないとする姿勢を鮮明にしている。しかし、日本からすると、北方領土はロシアとの領土問題だが、ロシアからするとそれだけではない。  米中などでの大国間対立が激しくなるにつれ、より重要な問題となっている。ロシアにとって、北方領土における相手は日本だけではない。仮に日本が経済協力し、その見返りとしてロシアが4島全てを返還したら、それは日本にとっては悲願の領土返還となるが、ロシアにとっては大きな安全保障上の問題を生み出すことになる。  4島返還によって主権や施政権が日本に戻ってくることになれば、それは日米安全保障条約第5条に基づく米軍の対日防衛義務の適用範囲になることを意味する。

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