「野菜嫌いな父を論破」最年少“野菜博士”の子育てルール「気づけば母はさかな検定準1級です」
最年少の「野菜ソムリエプロ」として「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」をはじめ、さまざまなメディアで活躍中の緒方湊くん。小さい頃から野菜だけでなく、電車や魚、歴史など好きなものが多く、夢中になると一直線!湊くんの成長をどのように見守ってきたのか、父親の緒方智さんに伺いました。 【画像】湊くん一押しの山形県の伝統野菜「甚五右ヱ門芋」
初めて話した言葉はまさかの「電車」
―― 現在、大活躍の湊くんですが、小さい頃はどんなお子さんでしたか? 緒方さん: 争いごとが嫌いで、感情的になることもほとんどない子でした。好奇心旺盛で、なにか好きなことができると、とことん夢中になる。1歳半で電車、3歳で魚や野菜、7歳からは歴史にハマっています。初めて話した言葉も、「ママ」ではなく、まさかの「電車」でした(笑)。 ―― 湊くんがなにかに関心を持ったときは、親御さんはどのようにサポートしていたのですか? 緒方さん: 好きなことを好きなだけ突き詰めてほしいとずっと思ってきました。なので、湊が興味のあることには「とことんつき合う」が我が家のルールです。電車を見に行ったり、水族館に足を運んだり…。北から南まで、全国津々浦々、かなりの場所を一緒に巡りました。 野菜に限って言うと、庭の畑での野菜づくりを一緒にやったり、コロナ禍の前ですが、週末になると近県の道の駅や農協、ファーマーズマーケットを巡って、いろいろな野菜や果物を探しに行きました。ファーマーズマーケットでは珍しい野菜と出合えますし、農家さんと顔見知りになることで、野菜のことをいろいろと教えてもらえるいい機会にもなりました。 資格試験にもとことん付き合いましたね。湊は「日本農業検定」や「野菜検定」「野菜ソムリエ」などいろいろな資格を持っていますが、小さい頃は試験をひとりだけでは受けに行かせられないので、母親も湊と一緒に勉強し、試験を受けていました。母親は、「日本さかな検定」準1級、「歴史能力検定」2級に合格したようです。
野菜嫌いなお父さんを論破!
―― 湊くんは、今は中学3年生です。ふだんはどのような生活をしていますか? 緒方さん: ふつうの中学生です。卓球部に所属しており、休み時間はドッジボールをしているようです。家では、勉強をしたり、テレビを観たり、ゲームもします。朝と夕方は庭の畑の手入れをし、その野菜を使って料理をすることもあります。料理も好きで、魚もさばきます。 あと、神奈川新聞で隔週の連載を担当しているので、原稿も執筆しています。原稿については湊が書いたものを、私がパソコンで打ち直していますが、ほとんど手直しはしていません。小さな頃からセミナーで野菜のことをたくさん話しているので、自分の知識で構成を考え、文章にすることができるようです。 ―― 学業とメディア活動の両立も大変そうですね。 緒方さん: そこは本人の強い希望もあり、学校と部活を優先しています。メディア活動はできる範囲で行うことに。 ―― 湊くん、しっかりされていますね! 緒方さん: 正直、親子が逆転している感じです。湊は野菜好きですが、実は私は野菜や果物が嫌いです。なので、「野菜を食べなさい」と湊にいつも言われています(笑)。 しかも、単に体にいいから、とは言わないんです。「野菜に含まれるビタミンやミネラルは体内でつくることができないから、健康のために食べようね」と。「でも、肉食獣のライオンは野菜食べないよね」と反論すると、「ライオンは草食動物のウサギやシマウマを食べるでしょ。消化されている草を、草食動物を通してライオンは食べているんだ」と言う。 もうそこまで言われると「う~ん、じゃあ少し食べてみようかなぁ…」とならざるを得ない(笑)。 ―― 湊くんなら野菜の美味しい食べ方も知ってそうですね。 緒方さん: そうですね。たとえば、大量のトマトが毎年畑にできるのですが、私は「トマトのゼリー部分」が嫌いなんです。それを湊に伝えると、ゼリー感を感じさせないよう、トマトケチャップにしてくれました。 トマトケチャップをクリアすると、ゼリー部分が入ったトマトピューレ、次はトマト感のあるラタトゥイユと、だんだんトマトの本来の形に近づくようにアレンジしてくれました。 そこまでやられると、「じゃあ、自然のままのトマトを食べてみようかなぁ…」となりますよね。そういうトラップが張り巡らされています(泣)。 ―― 湊くん、頼もしいですね。将来はどんな子に育って欲しいですか? 緒方さん: 健康でいてくれたら十分です。まだ子どもなので今まで通りサポートはしていきますが、彼の人生ですから、やりたいことをとことんやってほしいです。 本人の希望としては、今後は美味しいのに知られていないマイナーな野菜を広めたり、後継者不足が深刻な伝統野菜を守りたいようです。また、野菜だけでなく、野球の実況アナウンサーなどにも興味があるようなので、親としては湊がやりたいことを応援していきたいと思います。 取材・文/酒井明子