21年の航空需要、コロナ変異株流行で下振れも IATA予測、成長率を下方修正
IATA(国際航空運送協会)は現地時間2月3日、2021年の航空需要が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異株流行などにより、2020年と比較し13%の増加にとどまるとの悲観的なシナリオを発表した。IATAは当初、前年比50%増になると予測しており、旅行制限の拡大が大きく影響するとみている。 同日に発表した2020年暦年(1-12月)の実績によると、有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)は、国際線が前年比75.6%減、国内線が同48.8%減。座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は国内線が68.1%、国際線は35.7%、それぞれ減少した。ロードファクター(座席利用率、L/F)は国際線が前年比19.2ポイント減の62.8%、国内線は同17.0ポイント減の66.6%で、「航空史上、最も急激な減少」(IATA)となった。 IATAは当初2021年の世界全体のRPKについて、2020年と比較し50%増になると予測し、好調だった2019年実績の半分に戻るとの見通しを発表していた。今回、英国や南アフリカなどで見つかったコロナ変異株の流行より、下振れとなると予測。成長率は前年比13%増の回復にとどまり、2019年実績の38%となるとの見通しを発表した。 IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長兼CEO(最高経営責任者)は「今年に入ってからの旅行制限の拡大により、(50%増となる)控えめな予測がさらに厳しいものになる」との見通しを示し、変異株の流行により、2021年は「さらに厳しい年になるだろう」と述べた。
Yusuke KOHASE