是枝監督、最優秀男優賞のソン・ガンホを祝福「彼が作品のキモだったし、ムードメーカーでチームリーダー」
第75回カンヌ国際映画祭の授賞式が28日(日本時間29日未明)、仏カンヌで行われ、是枝裕和監督が韓国映画「ベイビー・ブローカー」(6月24日公開)で主演を務めたソン・ガンホの最優秀男優賞を祝福した。 授賞式後に会見した是枝監督はソン・ガンホの受賞について「素直にうれしいです! 自分が褒められると疑ってかかりますけれど(笑)、役者が褒められる時は本当にうれしいです」。韓国初の受賞ということもあり「僕ら…多分共演した役者たちもスタッフも一番うれしい賞だと思う。彼がこの作品のキモだったし、本当にムードメーカーだったし、チームリーダーだったし、彼がこういう形で評価されたのは何よりでした」と喜んだ。 撮影現場でのやり取りを振り返り、ガンホとの信頼関係を強調した。「お互いに僕も彼の演技を観ながら脚本を現場で直していく、編集を見てもらって、というか彼が見るので、見て意見が戻ってきて、そういうフィードバックが撮影の裏で毎日あった。そのことが僕にとって判断の基準になりましたし、そういう信頼関係の中で進められたというか、結果的に作品の中に残っている彼の芝居の質も上げたと思いますし、そういうことなんじゃないかな」 報道陣から「カンヌで有名になった実感はありますか?」と質問されると「あります(笑)。声を掛けられることが増えました。うれしいですけどね、単純に」と笑った。スペイン人俳優のハビエル・バルデムに声を掛けたところ「振り向いて『あっ』って言われたんです。あ、俺のこと知っているようで、ちょっとうれしかったです(笑)。一緒に写真撮りました」と明かした。 「ベイビー―」は「赤ちゃんポスト」をきっかけに出会ったブローカー、母親、刑事たちの人間模様を描いた物語。コンペ部門に出品され、公式上映では12分間に及ぶスタンディングオベーションで歓迎された。是枝監督にとって「万引き家族」以来、4年ぶりの最高賞「パルムドール」獲得はならなかったが、キリスト教関連の団体から「人間の内面を豊かに描いた作品」に与えられる「エキュメニカル審査員賞」に輝いた。
報知新聞社