俳優・成田凌が「死ぬ以外何でもやる」という気持ちで挑んだ映画「雨の中の慾情」
――最初に撮ったのはどのシーンですか?
成田:義男の家で、O子(李沐薰)と対峙するシーンでした。なんか、緊張しました。でも本当にあの家の美術が素敵で。実際に人が住んでいる家をお借りして、そこに暮らしている犬も登場して。
――あの動じない犬! もともと彼のテリトリーだから、あのくつろぎ方だったんですね。
成田:みんなに愛されていましたね。
――初日を迎えるまでどんな準備をしたか、どんな心境だったかを教えてください。
成田:体型の準備はしましたけど、一番は「覚悟していく」でした。どの作品でもそうですが、片山さんの作品は特に生半可な気持ちでは入れないですからね。作品期間中は「死ぬ以外いいや」と本気で思ってました。台湾の田舎の田んぼやドブで、自分が這いつくばらなきゃいけない場所の、衛生状態がかなり悪かったんです。「うわ!」とは思うけど、そこを通過していくことが義男を作っていくことだから、本当に「死ぬ以外何でもやる」という気持ちでした。いろいろ大変でしたけど、とにかく体力はある方なので、そういう人間でよかったなと思いました。
――成田さんにそこまで覚悟をさせた片山監督は、どんな存在でしたか。
成田:「いつか必ず一緒に仕事がしたい」と思って生きていました。片山さんの作品に出たい俳優はたくさんいると思います。いろいろなことに対して逃げずにまっすぐ挑んでいく監督と一緒に作品を作りたい。この作品に携わることができて、本当に良かったです。
「めちゃめちゃ考えて演技しました」
――前情報を入れずに「雨の中の慾情」を見始めると、たくさんの「?」が芽生えていきました。戦争のシーンをきっかけに全ての「?」が回収されていき、ものすごくスッキリしました。
成田:ありがとうございます。戦争のシーンは特に思い入れがあって。あのワンカットを撮るために、朝から日が暮れるまで、1日がかりでみんなで撮ったんです。練習に練習を重ねて、「じゃあ(本番)回してみようか」と。「すごいことだな」と思いながら演じた結果、すごい画になりましたよね。