DX成功企業はたった4割だけ…PwCコンサルが指摘する日本の弱点
DX(デジタルトランスフォーメーション)で期待通りの成果が出ている企業はわずか41%──。PwCコンサルティングが実施した「2024年DX意識調査」でこんなデータが明らかになった。 【画像をみる】PwCコンサルが実施した調査結果の詳細(全8枚) 経済産業省が「DXレポート」で「複雑化・ブラックボックス化した既存システムを使い続け、2025年までにDXが進まなかった場合、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と指摘する「2025年の崖」を目前に控える中、企業DXを成功させるためには、アジャイル開発など既存のやり方を変える「Howの視点」が必要だという。PwCのレポート担当者を取材した。 同社はクライアント企業を中心に、売り上げ500億円以上の企業の課長級以上500人を対象に調査した。 DXの取り組み成果について「期待通り、もしくは期待以上の成果が出ている」と回答した割合は全体の41%にとどまった。半数超がDXの成果に期待通りの成果を示せていない状況だ。 同社によるとDXの成功事例には、「デジタル人材の育成成功」「システム内製化」「アジャイル開発」の3つの共通項があり、これらの好循環によって、DXがさらに加速する環境が整備されているという。 同社の調査では、デジタル人材育成に関して「日々の業務に追われ、育成に時間が割けない」(19%)、「実践の場が少ない」(16%)が主要な障壁になっていることが分かっている。 これに対し、デジタル人材の育成で成功事例の企業では「システム開発をアジャイルで内製化し、実践の機会を増やすことで、結果的にデジタル人材の育成につなげていることが推察される」(PwCコンサルティング担当者)という。 また、DX成功企業ではアジャイル開発に適した社内プロセスや規定を導入しているほか、DX推進組織と業務部門・IT部門が三位一体で取り組み、仕組みの自動化に積極的に取り組んでいることも分かった。 「最新技術を活用して自動化を積極的に行うことで、デジタル人材育成の時間を捻出し、付加価値の高い領域へシフトすることで順調にデジタル人材を育成。人材の連携により、業務課題を速やかに解決し、DXで着実に成果を上げている。成功要因を共有することで人材育成が加速され、DXの成果を上げる好循環が生まれている」(PwCコンサルティング担当者)