従業員が職場にAIを持ち込む「BYOAI」が加速。直面するリスクとメリット #TrendBuzz
職場でAI使っていますか? マイクロソフトとLinkedInが5月に発表したレポート、「2024 Work Trend Index」は、職場でのAI活用状況が垣間見える内容になっています。 たとえばナレッジワーカーの46%が“最近6ヵ月で生成AIを仕事で使用しはじめた”と回答。 ここで注目したいのは、職場が提供する以外のAIツールを持ち込む「Bring Your Own AI(BYOAI)」が進んでいるとの興味深い現象です。 自前のAIが従業員の生産性を高める一方で、企業はセキュリティリスク管理も含めたAI活用環境を早急に整える必要に迫られています。
かさんだ仕事をBYOAIで乗り切る人が急増
AIが実務で使われている2024年ですが、職場のAI活用環境を整えるのは簡単じゃないのが実際のところ。会社がAIを導入せずとも、各々が先回りしてAIツールを持ち込むのは自然な流れといえそうです。 また、コロナ禍で加速した仕事のペースや量が緩和されないままきている…といった自前のAI活用を後押しする事情もあるよう。こうした環境がBYOAIを加速しています。
BYOAIが仕事の生産性を高める一方、セキュリティリスクも
BYOAIしている人の世界平均は、AI利用者の78%と高く、特に中小企業ではそのパーセンテージが80%とさらに高まります。 AIを活用することで時間が削減できる(90%)、重要な仕事に集中できる(85%)…といった個人的なメリットが発生する一方、これらが組織全体の競争力強化に直結しにくいといったデメリットもあります。 さらに見過ごせないのが、システムのセキュリティリスクや情報漏洩のリスクが伴うこと。組織はAI活用環境を整えるうえで、BYOAIの管理が1つの大きな課題として浮上してきました。
AIへのアクセスが優秀な人材を惹きつける要因に
セキュリティ対策およびBYOAIの管理が困難な環境では、生成AIの活用を極力制限するのが正しいかもしれません。 ただしレポートでは、AIへのアクセスが優秀な人材を惹きつける要因(AIや生成AIに言及する求人広告は、言及しないものと比べて12%応募率が高まる)になることが示されていて、BYOAIについて前向きに捉える選択肢もまだ残されています。 BYOAIに関するルールづくりを含め、AIによる業務変革を進めるうえでまず求められるのは適切に舵取りできるAI責任者でしょう。 レポートでは、AI責任者をはじめとする生成AI利用に特化した新しい役職の求人が増えている(過去5年間で3倍に増加、2023年だけで28%以上成長)ことが示され、業界問わずAI人材の配置が進められているのがわかります。 会社のAI導入よりも個人で使う人が増えているAI。セキュリティ対策への線引きが求められています。 Source: Microsoft(1, 2)
山田洋路