「卑怯やなと思います」病院側の会見は医療事故から3年後 男性が骨折手術後に鎮静剤の投与を受けて意識不明…回復することなく死亡 遺族が提訴
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「医療ミスで意識不明に」。男性の遺族が大阪公立大学病院を相手に提訴しました。 「お父ちゃん、聞こえる?聞こえる?」 2022年、長男がオンラインで男性に向かって必死に声をかけますが、返事はありません。男性は手術後に意識不明となり、一度も回復することはなく、去年7月、この世を去りました。 (長男)「まだまだ生きたかったと思うんです。手術する前日まで会社にも来ていた。まだまだやり残したことがいっぱいあると思う」 2019年、当時の大阪市立大学病院で骨折の手術を受けた男性患者(当時79)は、手術後に鎮静剤の投与を受けたあと、低酸素脳症になり、意識不明となりました。 1か月後、病院側は▼医師が看護師に対して鎮静剤を多めに投与したと伝えていなかったこと▼心拍を測定する機器が適切に接続されていなかったことなど、医療ミスがあったと認め、家族に謝罪しました。 【病院から家族への説明※音声】 (病院側)「私どもの医療ミスで多大な精神的な苦痛を与えたことを誠に申し訳ないと思っています」 (担当医師とみられる男性)「鎮静を行ったということは、やはりその後に意識が落ち着くのと引き換えに呼吸が弱くなります。どれくらい呼吸が止まりやすいかとか、そういうことまでは(看護師に)はっきり伝えきれていなかった」 病院の当時の内規では、重篤で永続的な障害が生じた場合、「可及的速やかに報道機関等を通じて公表する」と定められていました。ところが、家族側が指摘するまで公表されず、記者会見が開かれたのは事故から3年後でした。 (長男)「卑怯やなと思いますよね。二度とこういう事故がないように。人の命を預かる仕事やから、注意深く一生懸命仕事してほしいと思います」 11月29日、長男らは、医療ミスによって男性が意識不明に陥ったほか、公表の遅れにより精神的苦痛を負ったなどとして、病院側に対し1億5000万円あまりの損害賠償などを求め大阪地裁に提訴しました。 病院側は「真摯に受け止め、ご家族様に誠意を持って対応いたします」とコメントしています。
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