祖父母ら3人殺害した罪に問われる男に無期懲役を求刑 裁判を複雑化する"別人格"とは【記者解説】
2022年3月、浜松市の住宅で高齢の夫婦と孫の計3人が殺害された事件の裁判員裁判が12月4日午前行われ、検察側は被告の男に無期懲役を求刑しました。 【写真を見る】祖父母ら3人殺害した罪に問われる男に無期懲役を求刑 裁判を複雑化する"別人格"とは【記者解説】 この裁判を取材している浜松総局・野田栞里記者の解説です。 <浜松総局 野田栞里記者> 結審を迎えたこの裁判を複雑にしたのは、被告の男の『別人格』とされる存在でした。これまでの裁判で被告は子どもの頃、父や兄から受けたDVのフラッシュバックから生まれた攻撃的で自分の身体を乗っ取る『ボウイ』という別人格がいると主張してきました。 実際に被告は事件当時「解離性同一性症」を患っていて、この点について検察・弁護側双方に争いはありません。裁判では、この『別人格』の存在を認めたうえで、被告に責任能力はあるかどうかを争ってきました。 検察は、この『別人格』は、1人の人間をつくる1つの側面に過ぎないという考え方です。さらに、当時の被告の状態を考えると「別人格」はコントロールできたとして、被告に責任能力は問えるとし無期懲役を求めました。 一方の弁護側は、『別人格』は主人格とは明らかに異なるアイデンティティであって、独立した別人だと主張。3人を殺害したのは、被告ではなく「別人格」であり、被告は無罪であると訴えました。 裁判官は3人を殺害したのは『誰』と捉え、被告に果たして、どんな判決を下すのか、判決は2025年1月15日に言い渡されます。
静岡放送