神戸・新長田の復興シンボルに鉄人28号、再開発完了…「よその子が『ただいま』と入ってくる」下町の魅力で移住者増
池田さんは「濃密な人と人のつながりは震災でも壊れなかった。地域の絆を受け継ぎたい」と話す。
劇場
NPO法人「ダンスボックス」代表の大谷燠(いく)さん(72)は09年、再開発ビルの一室に劇場を構えた。
大阪市でコンテンポラリーダンスを披露する劇場を運営していたが、「新長田の新しい文化に」と誘われた。
「無機質なビルが立ち並ぶ街」と感じたが、在日コリアンやベトナムなど様々なルーツを持つ人が共生していることを知り、印象が変わった。若手ダンサーらがレッスンを受ける「国内ダンス留学」を実施したり、新長田を舞台にしたアートイベントを開いたりして地域に溶け込んでいる。
大谷さんは「『ダンスはわからんけど、1回見に行こう』と言ってくれる。震災を経て、寛容で豊かな人たちの街になったのだろう」と笑顔をみせた。
◆新長田駅南地区の復興再開発事業 兵庫県内6か所で行われた事業の中で最大規模。対象面積19・9ヘクタールで、総事業費2277億円。2003年度に完了予定だったが、土地の買収などに手間取り、延長を繰り返した。10月末に「新長田キャンパスプラザ」(9階建て)が完成し、計44棟の整備を終えた。市の事業収支は約324億円の赤字で、市が整備したビル25棟のうち商業床の約6割が売れ残る。