【毎日書評】「起業したい」と会社を辞める前に必ず踏んでおきたいステップは?
起業で成功する人は、簡単に稼げる話には飛びつかない
前述のとおり、創業当初は順調だった著者はそののち苦境に陥ったことがあるそうです。そして、そんな時期に怪しげな儲け話に引っかかってしまったのだといいます。 なにをやってもうまくいかず、貯金も底をつき、自信をなくしている状態だと、正常な判断ができなくなるもの。そしてそんな時期には、怪しい話に乗ってしまいやすくもあります。 著者の場合は、そのころ通っていた自己啓発セミナーの受講生仲間から、「簡単に儲かるビジネスがあるよ」と声をかけられたそう。それは携帯キャリアが実質0円で提供するiPhoneを中国に転売するというものだったといいます。 ところが当然ながらうまくいかず、残ったのは800万円程度の借金。しかし払えるはずもなく、最終的には月に数万円ずつ返済していくことでなんとか乗り越えたのだといいます。 自分の経験から声を大にして言いたいのは、「世の中には簡単に稼げるビジネスなどない」ということです。 起業で大きな失敗をする人には「一攫千金マインド」という共通点があります。ラクをしてお金を稼ぎたいマインドが強すぎるので、おいしい話が来るとチャンスだと思い、乗っかってしまうのです。(26ページより) しかし、ネットによくある「人生の成功者になれる」「すぐに月100万円稼げる」などと謳ったセミナーやビジネスの広告は、十中八九、怪しげなもの。お金に困っていると心を揺さぶられるかもしれませんが、そうした話に大金を注ぎ込んでしまうと、起業自体が難しくなるわけです。 「自分はそんなのには引っかからない」と思っていても、信頼していた知り合いに話を持ち掛けられたら、「これなら安全だろう」とバイアスがかかることもあり得ます(私のように)。 だから、地道にコツコツ稼ぐのが一番安全で確実なビジネスだと思ってください。(24ページより) 3年くらいは下積みでやるつもりでいると、お客様からも信頼され、徐々に仕事は増えていくそうです。世の中にはおいしい話などないのですから、とにかく地道に進めるべきだということです。 起業0年目の最初の一歩は、大きく踏み出すことではないと著者はいいます。小さくても正しい方向に向かって、たしかな一歩を踏み出すことこそが重要なのだと。だからこそ起業したいのであれば、本書を参考にしながら、自分にできることを再確認してみるべきかもしれません。 >>Kindle Unlimitedの3カ月無料キャンペーン【10/20まで】 Source: かんき出版
印南敦史