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変わらないでいたい――中村倫也の美学、褒められすぎると「むずがゆい」:インタビュー

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 ゴールデン・プライム帯連続ドラマで初主演して話題を集めた「美食探偵 明智五郎」(20/NTV)の好演も記憶に新しい中村倫也の主演映画最新作『人数の町』が公開となった。これまで多くのCM・MVを手掛けてきた荒木伸二による長編初監督作品でもある本作は、もしかしたら日本のどこかに本当に存在するかもしれない、ある「町」を舞台に、そこに流れ着いた中村演じる主人公・蒼山の運命を描く新感覚のディストピア・ミステリーだ。  その卓越した演技力で幅広いファン層を獲得し続ける中村は、2005年の俳優デビュー以来、さまざまな表情でファンを魅了し続け、とりわけ最近の出演映画では、『孤狼の血』(18)、『長いお別れ』(19)、『アラジン』(19)(主人公アラジンの日本語吹き替え)、『水曜日が消えた』(20)など、枚挙に暇がないほどその才能を開花させている。しかし当の本人は、「生き方として褒められすぎるとむずがゆいものがあるんですけど、それは受け入れて、人前に立つこともありましたし、これからもそうだと思う」と冷静だった。主演した『人数の町』について赤裸々に本心を語る中村倫也のインタビューをお届けする。【取材=鴇田崇】

感覚の誤差、その答え合わせ

――独特な世界観の町の映像が広がっていましたが、印象的なシーンはありますか?  最初の地下駐車場から始まっていますよね。あの町に着いて、最初の風景からもう異質。撮影現場でもヘンな電飾を立てていたりしていたんで(笑)。それこそ現場で撮りながらも台本には書いていない美術ひとつひとつを見ながら、こんな感じなんだって思いました。それが完成してひとつの映像でつながったものを観た時に、面白いなあって思いました。 ――まるで海外の映画のような印象も受けました。  ヨーロッパのミニシアター系の感覚はありました。そもそも、わからせる作品ではないんですよね。これだけのテーマがあるので監督のやりたいことは社会派でありつつ、でもそれをカタルシスで押し付けることもなく、なんだかこう観察させるような作風。そういう作品は、あまり邦画ではなかったですよね。それは異質ではありますし、斬新でオリジナリティーはあると思います。台本の一ページ目をめくって主人公が町に入っていく段階と、読み終わった後では物語の印象が、もちろん変わると思うのですが、これって映画を観た人がどういう感想を抱くのかなとは思いました。それは最初から気になるところでした。 ――それは世界観が特殊だから観客の反応が楽しみ、という意味ですか?  どういう風に今の人たちが、この映画の感想を抱くのかなと気になった理由は、僕がある種こういう仕事をしていて、世間一般の方たちと微妙に物差しが違うと思うんですよね。その誤差というものは怖いというか気をつけていることでもあるのですが、そこの答え合わせじゃないですが、知りたいなっていう気持ちになりました。 ――誤差とは、どういうことですか?  たとえばスーパーに行って長ねぎ、高いなあとか(笑)。今年は野菜が高騰しているじゃないですか。あとはJRの初乗りいくらかなとか、どうしたって気を使ってもらえる立場で、自由にあんまり出歩けないということもありますし。ちょっと特殊な環境じゃないですか。  でも、特殊のままで片付けてはいけないと思うんですよね。なぜなら観てくれるお客さんは、普通の生活をしているから。台本を全体でとらえた時にそういうズレがあった場合、仕事にならないかなと思っているので、自分の作品が世に出る時もそうですし、言動も。世の中で起こっていること、そういうことはつねづね気にはしています。

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