新型コロナウイルスはもはや「怪物」ではない 「有効性9割」のワクチンと6タイプの薬剤開発の希望
▽ 臨床試験、世界で4千件 新型コロナウイルス感染症の感染者は11月20日の時点で、世界で累積5751万人、死者は137万人に上った。1日当たり、世界で約70万人の新規感染者が報告され続けている。 これまでの統計では全体では致死率2%ほど。年齢によって大きく変わり、18歳未満だと致死率は0・04%という結果も出ているが、50代2%、60代10%、70代20%、80代30%と高齢になるにつれて致死率は上がってくる。重症化や死亡をいかに防ぐかは重要になる。その意味でワクチンと並行して治療薬の開発も求められている。ここも見通しは決して闇ではない。 新型コロナウイルス感染症の治療薬開発を見ていくと、その原点は1960年のコロナウイルス発見に遡り、さらに2002年のSARS発生から研究は広がりを見せた。02年から新型コロナ発生以前の19年11月までに発表された、SARSの医薬品開発に関する論文は簡単に調べただけで1800件以上ヒットする。これを土台にして新型コロナウイルス感染症の治療薬の開発も進んでいる。20年11月20日までに報告された新型コロナウイルス感染症の薬に関する論文は、8041件に上る。世界の臨床試験のデータベースClinicaltrials.govによると、新型コロナウイルス感染症に関係した臨床試験は世界で3977件になっており、日々増え続けている。
新型コロナウイルス感染症は約3万のRNAから成り立っている。それをずらりと並べると、こんな文字の羅列からウイルスが生み出されて、世界が翻弄されているのかと不思議になる。逆に言えば、ウイルスの正体はすべて白日の下にさらされている。そこからどんなウイルスの本体ができるのかも見えている。それをいかに抑制するかが重要になる。「もはや怪物ではない」という印象を人に与えるとしたら、その理由はこうした変化にあると考えている。 ▽トランプ氏が受けた抗体カクテル、進むアプローチ これまでの研究のデータを見て、新型コロナウイルス感染症の治療薬開発は大きく2つのアプローチで進んでいると考える。またその中で、6つの領域があると見ている。 2つのアプローチとは「ウイルスに働きかける」と「宿主側に働きかける」。宿主とは、ウイルス感染を受ける人を指す。まとめると次の通り。 1. ウイルスに働きかける 1、 ウイルスに対して結合する抗体医薬