「泣くつもりはなかったんですけど…」大宮の守護神・笠原昂史が明かした“重圧”「最近は眠れなかった」
NACK5スタジアム大宮で行われた首位大宮アルディージャ対2位FC今治の“J3首位攻防戦”。引き分け以上でJ3優勝が決まる大宮は、先制を許しながらも関口凱心のゴールで同点に追いつく。1対1のまま迎えた後半アディショナルタイム、今治FWアンジェロッティのFKが壁に当たってラインを割ると、ここでタイムアップのホイッスル。今季リーグ戦全33試合2970分フルタイム出場を続ける大宮の守護神・笠原昂史は、膝から崩れ落ちて優勝の味を噛み締めた。 「泣くつもりはなかったんですけど……。自然と溢れてくるものがありました。『プレッシャー感じていたんだな』と自分でも思いました」と笠原。大宮ベンチ前で一人座り込み、涙を拭った。「最近は眠れなかったりとか、いろいろとあって。感じないようにしていたのかは分からないですけど、プレッシャーはあったのかなと思います。僕も(プレッシャーには)強い方ではないので。けど、これも自分らしいかなと思います」と振り返った。 大宮は勝ち点1を上積みし、現在23勝8分け2敗の勝ち点77。2位今治との勝ち点差は16となり、見事J3優勝を果たした。過去にJ3からJ2に1年で復帰したのは、2016年の大分トリニータのみ。笠原も「それだけ難しいリーグであることを示していると思います」と語る。だが、大宮は「ここに巻き込まれるわけにはいかなかった(笠原)」。笠原はクラブ史上初めてJ3を戦った今季、そして1年でJ2に復帰できた意義をこう語る。 「一人ひとりが強い思いで今シーズン戦っています。監督、コーチ、スタッフ含め、(J3は)一つになるきっかけというか、またここから上に行くための助走になった。もちろん結果としてはJ3降格は良くはないですけど、これから上がって行くためのきっかけだったと捉えれば、価値のある1年になった思います。僕はここまでタイトルと無縁で、サッカー人生もこのまま終わるかもしれなかったところで、自分の名を残すチャンスが来た。いい1年になったと思います」 J2復帰・J3優勝という目標を達成した大宮は、来季を見据えて残り5試合を戦う。「ここで緩んだら何の意味もない」と笠原も気を引き締める。「相手は(J2昇格)プレーオフや降格がかかっていてフルパワーで来るので、かなり難しい試合になると思います。このチームには手を抜く選手は一人もいないですけど、今日は引き分けだったので、しっかりとまた次から連勝できるようにいい準備をしていきたい」と5連勝締めを見据えた。 取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
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