パフォーマーから写真家まで…『ダウン症』の思い込みひっくり返す表現者たち 個性と向き合い可能性広げる
名古屋市中区の福祉施設に通う川田太志(かわだ・たいし 42)さんは、小学生の時にカメラの楽しさを知った。
ハワイに行ったときに見た夕日や植物などカラフルな風景を撮影したところ、写真家の目に止まり、やる気に繋がったという。27歳のときにリサイクルセンターで撮影した作品「宝の山」は、二科展で入選した。 母親 川田敬子さん: 「空き缶ばかりでプレスしているから、太志君にとっては宝の山だねって。太志が撮る写真は、うまく撮ろうとか、いいふうに見せようと思ってなくて撮っているから、それがすごくいいと言ってくださって」 太志さんはその後も、独特の感性があると評価され、様々な写真展で受賞を重ねた。
ヘルパーさんと一緒に、愛知県長久手市の愛・地球博記念公園へ来た太志さんは、大学生にモデルを頼み、ユーモラスで、動きがある写真を撮影した。
遊具で遊ぶ子供たちも、太志さんが撮ると… 川田太志さん: 「未来のトンネルかな。過去と未来を行くところ」
太志さんは、名古屋市などを中心に、各地で写真展を開いている。
■ダンス・刺繍・モデル・俳優 広がる活躍の場
ダウン症があると言っても、個性や得意なことは様々だ。 名古屋市名東区の大平楽人(おおひら・らくと)さんは、タップダンスで、様々なアーティストとセッションしている。上手く会話ができない代わりに、音楽で交友活動を広げている。
名古屋市昭和区の武市隆太郎(たけうち・りゅうたろう)さんは刺繍が得意で、1mmほどのマスを埋めるように針を動かし、毎日30分ほどの製作が日課となっている。 武市隆太郎さん: 「器用です。生まれつきなんで。お父さんが『武市木工芸』で建具や机を作っていて」
2024年3月、念願だったパリコレのランウェイを歩いたモデル・葉桜(なお)さん。
アカデミー賞ノミネートの映画「パーフェクトデイズ」にも出演した、俳優・吉田葵(よしだ・あおい)さん。
多くの人の思い込みを超えるように、活躍の舞台を広げている。