【高級ぶらない大型SUV】フォルクスワーゲン・トゥアレグV6 TDIへ試乗 ブラックエディション 後編
トゥアレグと相性が良いV6ターボディーゼル
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) フォルクスワーゲンだから、トゥアレグのフロントシートの座り心地は素晴らしい。タッチモニターを介して座面の長さや、ランバーサポートとサイドサポートの位置などを調整できる。だが、贅沢に仕立てられたという印象はない。 【写真】VWトゥアレグ X5、GLE、ディスコと比較 (128枚) ダッシュボードは一体成型品で、レザーで覆われてもいない。スイッチ類なども同様。モニター式のデジタルメーターのグラフィックは、派手ではないぶん読みやすく感じた。シンプルが良いときもある。 286psを発揮するV6ターボディーゼルは、トゥアレグとの相性が良い。多くの状況で、大きなSUVに必要以上の最大トルクを与えてくれる。冷間時にエンジンをスタートさせると、ディーゼルのカラカラ音が聞こえてくるが、それ以外は目立たなくなる。 高速道路の追い越し車線でも余裕しゃくしゃく。忙しない都市部の道でも、軽くないボディを軽々引っ張ってくれる。8速ATも、全体の95%位の割合で、とてもスムーズなマッチングを見せる。 残りの5%は、パワートレインに鈍さを感じる場面があった。停止状態からアクセルペダルを強めに踏み込むと、車重2tを超えるボディを加速させるまでに、若干のもたつきがある印象。少しゴムっぽい反応とでもいえるだろうか。 赤信号からの発進では、アイドリングストップしたエンジンの再始動するタイミングが遅く感じられた。特に急いでいる時には、気に触るかもしれない。
車高の低いクルマのように運転できる
中間加速のアクセルレスポンスは、はるかに優秀。ドライバーの気分に合わせてドライブモードを選択すれば、さらに軽快に走ってくれる。 スポーツ・モードでは、発進時のもたつきが多少解消される。だが、細かなペダル操作で快適に走りたい時は、コンフォート・モードの方が良い。サスペンションは路面の乱れを見事に吸収し、滑らかに均してくれる。 ドライブモードに関係なく、走行時の洗練性は秀逸。背の高いボディながら風切り音も控えめで、メカニズムも車内からは遠い存在に感じられるだろう。 管理の悪いアスファルトでは、21インチ・ホイールが原因か、少しにぎやかな乗り心地になる様子。舗装の隆起部分を通過すると、強めの衝撃が伝わってくる。小さな垂直方向の入力が加わると、車重の影響からか、わずかにソワソワするような素振りも見られた。 オプション装備となる四輪駆動システムは、都心の狭い道や駐車場で、トゥアレグの機動性を大きく引き上げてくれる。ロータリー交差点の旋回もお手のもの。大型SUVながら、車高の低いクルマのように運転できる。 高速道路での乗り心地は柔らかく感じられ、不安感なく快適なツーリングを楽しめる。スポーツ・モードを選択し車高を落とすと、タイトコーナーではボディロールが抑え込まれ、速度を保ったまますり抜けられる。ドライバーが望めば。