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モア・ザン・アン・アスリート。レブロン・ジェームズが声を上げ続ける理由【宮地陽子コラム vol.4】

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コートの外から聞こえてくる選手たちの声

こんな6月になるとは、誰が思っただろうか。いつもなら6月はNBAファイナルの時期。1点、1秒を争うせめぎあいに人々は熱中し、王者と敗者の分ける1プレイに興奮していたはずだった。それが、今年の6月はアリーナからドリブルの音が消え、テレビに映る試合は、過去の試合の再放送や昔のハイライトシーンばかりだ。 いつもと違う6月。NBA選手たちは7月のシーズン再開のために準備を進める一方で、“ブラック・ライブズ・マター”(黒人の命を軽視するな、の意。以下BLM)運動に向き合っている。SNSを通して発信し、町に出て声をあげている選手も多い。6月19日、ジューンティーンス(奴隷制度が終わった記念日)には、八村塁も、ワシントン・ウィザーズのチームメイトや、同じ町のWNBAチーム、ワシントン・ミスティックスの選手たちと共に、ワシントンDCの町を行進している。 5月にミネソタで黒人男性、ジョージ・フロイドが警官に窒息死させられたことをきっかけに全米に広がったBLM運動は、6月に入っても途切れることなく、これまでにないぐらいの大きなうねりとなって続いている。NBA選手たちの多くも、その中心にいる。特にNBAの多数を占める黒人選手にとっては、BLMはごく身近な問題なのだ。

ファイナル前日、レブロンが語った人種差別の実情

それで思い出した光景がある。3年前のNBAファイナルが始まる前日、当時クリーブランド・キャバリアーズに所属していたレブロン・ジェームズは、ゴールデンステイト・ウォリアーズの練習場に設置された記者会見場の壇上にいた。NBAファイナル前日に行われる定例会見だ。レブロンにとっては8回目のNBAファイナルの戦いが始まろうとしていた。しかし、この日の会見で最初に聞かれた質問は、NBAファイナルの話でも、それどころか、バスケットボールの話でもなかった。 「あなたのロサンゼルスの家での事件についてコメントをもらえますか?」 レブロンは当時からオフシーズンを過ごすためにロサンゼルスに家を持っていたのだが、この日の朝、家の正門にペンキで人種差別的な落書きをされていたのだ。レブロンのような人気選手でも、人種差別は日常的に遭遇する問題だ。 選手によっては、こういった会見の場でバスケットボール以外の質問に答えることを断ることもある。デリケートな問題だけに、ノーコメントで通しても不思議ではなかった。