なぜ、今さら曙、サップに魔裟斗? 大晦日イベントは迷走か。
「おそらくですが、一般の視聴者をかつての有名選手の名前で引き付けて視聴率につなげたいというテレビ局の意向でしょう。懸命に頑張られている主催者や、出場する選手には何の責任もないでしょうが、『ちょっと違うよな』というのが正直な感想です。10年前の再放送を見せられても、格闘界の復興にはつながらないし、意味はない。詳しくは知りませんが発表されているカードを見ても、何がやりたいかが見えてこないし、方向性がバラバラに迷走しているようにも思えます。 今回の大晦日が、格闘界の再興のきっかけになってくれればという期待感はありますが、過去の呪縛から解放されていませんね。私も考えていることですが、格闘界の再興のためには、UFCの路線でもない、もっと新しいア プローチをしていくべきだと思います。今人気の新日本プロレスは、脱猪木さんから新しい形で成功させていますし、人が集まっている新K-1も、昔のk-1とはまったく違うものです。その意味で、今回の年末の格闘イベントは、過去をなぞったものに見えます」 「曙―サップ」のカード実現をサポート、瞬間最高視聴率43パーセントを稼ぎ、怪物番組である紅白歌合戦に勝った経験を持つ谷川氏だけに、格闘家としての峠を過ぎたこのタイミングで昔の名前に頼った「曙ーサップ」の再戦には複雑な心境なのだろう。 谷川氏は、「僕がプロデューサーをやっている頃は、大晦日という大きなイベントでは、時代の雰囲気をつかまえることが大事でした。今なら、テレビショーとして五郎丸歩を引っ張りだす、もしくは、ヒールとして清原和博をリングに上げるような仕掛けになるのでしょうが、10年前に比べてテレビの持つ力、取り巻く環境も変化しましたよね。局の予算もそうですし、テレビを見る人が減っています。どうアプローチしていくか、難しいのは事実ですが、迷走しているように見えます」と続けた。 かつてボビー・オロゴンらタレントをリングに上げてサプライズを起こした谷川氏らしい意見だ。