通信会社の電波利用料、総務省が引き下げへ…携帯電話・衛星の直接通信の普及後押し
個々の携帯電話と人工衛星を直接つなぐ通信サービスの開始に向け、総務省は通信会社が国に支払う電波利用料を引き下げる。直接通信によって山間地や離島、海上でも携帯が使えるようになることへの期待は大きく、各社のコストを抑えることで普及を後押しする。近く関係省令を改正する。 【図解】衛星と携帯「直接通信」のイメージ
携帯と衛星の直接通信は、低軌道を飛ぶ通信衛星に基地局機能を搭載し、携帯と電波を直接やりとりする仕組み。国内の携帯網の人口カバー率は99・9%だが、国土面積ベースでは約70%にとどまる。直接通信の普及でカバー率の向上につながるうえ、災害時にも有効な通信手段となる。
通信会社は、国から割り当てを受けた帯域幅などに応じて電波利用料を支払っている。現行制度では、携帯用の電波を使って直接通信サービスを提供する場合、地上と宇宙向けの通信用に二重で利用料を支払う必要がある。総務省は、地上と宇宙向けでそれぞれ2分の1に減額する規定を加え、通信会社が支払う利用料の総額が増えないようにする。
直接通信を巡っては、KDDIが年内にも米宇宙企業スペースXの衛星通信網「スターリンク」を使ったサービスを始める予定。まずメッセージの送受信サービスを提供し、将来は音声通話やデータ通信にも対応する。楽天モバイルも、楽天グループが出資する米新興企業「ASTスペースモバイル」の衛星を使い、2026年にも開始する計画だ。