考察『光る君へ』28話「いつも、いつも」と笑い合うのは、道隆(井浦新)在りし日々、華やかな思い出…清少納言は『枕草子』で定子の尊厳を守った
初の映像化では!?
そして立后の儀。もしや大河ドラマに限らず、初めての映像化では!? と胸が高鳴る。 内裏では、黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)を身に着けた帝を前に、居並ぶ廷臣たち、響く実資(秋山竜次)の祝詞。 后の実家で儀式を行うために、倫子と道長が暮らす土御門殿に集まった廷臣たち。帝からの賜り物、『権記』に記された獅子形2体、草鞋一足が映る。 荘厳な儀式とは裏腹に、彰子本人の表情はいつもと変わりない。 彼女の登場からずっと考えているのだが、小学校高学年から中学生くらいの子って大抵はこんな感じかもなあ……と。大人に対してハキハキとした子もいるけれど、親戚などの前では(どうしたらいいか、ようわからん)とでも言うようにブスッとしている子が多い気がする。親がやきもきして「ほら、挨拶は?」とせっついたりして。それを思うと彰子12歳、リアルではないか。
うちでお倒れになればよいのに
彰子の立后を受けて、明子(瀧内公美)が我が子らの存在を主張する。 「いずれこの子(寛子)も殿のお役に立ちますように」 巌君、苔君、は君の三兄弟(のちの頼宗、顕信、能信)に「蒙求」を暗唱させる……。明子の圧は強いが、当時の上級貴族の子を育てる女性としては特に強烈なふるまいではないと思う。おそらく、道長の父・兼家(段田安則)のように価値観が一致する夫であれば「そうかそうか」と満足げに頷いてくれただろう。が、このドラマの道長はそうではないから……。 そして彼女の前で、道長が完全に倒れる! 報せを受けて土御門殿を訪れた倫子が、付き添っている明子の手から奪うように道長の手を取り、 「うちでお倒れになればよいのに」 「『我が夫』を、こちらで看病願いますね」 なかなかに好戦的だが、倫子からすれば「倒れてから三日間も嫡妻である私に連絡なしとは、どういうこと? ありえないんですけど」という思いはあるだろう。 夫の病床でバッチバチ。道長、この瞬間に目を覚まさなくてよかったねえ……。