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社説:待遇格差判決 労働条件整備に生かせ

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京都新聞

 日本郵便の契約社員らが正社員との待遇格差解消を求めた3件の訴訟で、最高裁が扶養手当や有給の病気休暇などを正社員だけに与えるのは「不合理な格差で違法」と判断した。  非正規労働者の待遇格差を巡っては、最高裁が13日に別の訴訟の判決で退職金と賞与の請求を退けている。一連の判断は、賃金や手当、休暇について「不合理な格差」の線引きともいえる。  いずれも個別事業所の事例に対する判断だが、同一労働同一賃金の実現に向けて考慮すべき要素が提示された。企業は労働者の働き方に応じ、適正な労働条件の整備につなげていく必要がある。  今回の訴訟は、扶養手当と病気休暇、年末年始勤務手当、夏期・冬期休暇、祝日給の5項目が審理対象となった。  判決は、扶養手当と病気休暇について、扶養家族がいる者の生活設計を容易にしたり、療養に専念させたりすることで継続的な雇用を確保するのが目的だと指摘。長期雇用されていれば契約社員に付与しないのはおかしいとした。  年末年始勤務手当などは、その期間に勤務したことが支給要件である点を考慮し、正社員だけとする合理的な理由はないと断じた。  手当や休暇は企業の負担が比較的軽いとされる。判決を受け給付の広がりが期待されるが、退職金や賞与など賃金の「本丸」は格差是正の道筋が示されず、根本解決につながらないとの声も多い。  13日の判決は、退職金などの不支給が「不合理となるケースがある」とし、補足意見で労使交渉の重要性に言及した。ただ、非正規労働者は契約を打ち切られる心配などから、会社に対して声を上げづらいと指摘されている。  小規模な事業所では労働組合がないところもある。こうした人たちにどう手を差し伸べるのかは、労使双方が向き合うべき課題だ。  4月に大企業に導入された同一労働同一賃金制度は、来年度から中小企業にも対象が広がる。厚生労働省は、会社への貢献が正社員と同じ場合は同額の賞与を支払うべきとする指針を示しているが、日本商工会議所の調査では、制度への対応にめどがついているとした企業は46%にとどまる。待遇格差解消へのハードルは高い。  育児や介護、定年などで正社員以外の働き方を求める人は増えている。労働力不足が深刻になる中、適正な待遇で働ける仕組み作りに向けて政府は企業、労働者双方の支援を進める必要がある。

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