J2「徳島×山形」の“ノーゴール判定”は妥当だったのか? 家本氏が競技規則を基に見解「ぎりぎりのところ」
「Jリーグジャッジリプレイ」で家本氏が解説、“非常に難解”な事象に大きな反響
4月27日に行われたJ2リーグ第12節・徳島ヴォルティス対モンテディオ山形(0-1)の一戦で、後半開始早々の徳島側の得点かと思われた場面が、オフサイドにより認められなかった場面があった。ファンからも賛否の声が上がったこの事象について、5月3日配信の「Jリーグジャッジリプレイ」第9回で元国際主審の家本政明氏が解説している。 【動画】J2リーグ「徳島×山形」のジャッジに賛否! オフサイドによりゴールが認められなかったMF杉森考起のシュートシーン 問題の場面は後半1分、徳島がハーフタイム後に交代出場したMF西谷和希のクロスからMF杉森考起が右足を一閃。豪快なシュートを叩き込み、先制したかと思われた。 しかし、シュートコース付近にいたMF藤尾翔太がオフサイドポジションと判定され、ゴールは認められず。スロー映像で確認すると、藤尾のポジショニングはこの時点でオフサイドラインであった後藤よりわずかに前に出ているように見えるが、判断が難しい事象のようにも捉えられる。 番組内では「GKに影響を与えたのかどうかが関わってくるシーン」と紹介し、まずは藤尾がオフサイドポジションだったかを検証。映像ではゴールライン上に山形の選手が1人いた関係で、飛び出していたGK後藤がオフサイドラインだったことを確認し、審判ゲストの家本氏は藤尾がオフサイドポジションにいたことは“明白”だとした。
家本氏はオフサイドと解釈する方が「妥当」とするも“得点を認める”意見にも理解を示す
その上で「オフサイドの反則」に該当するのかを問われると、家本氏は「難しいですね」と感想を述べたあと、競技規則を引用して説明している。まず「相手競技者がボールをプレーする可能性に影響を与えるような明らかな行動をとる」という文章に注目し、藤尾はボールを避けようとしているが、“GKに対してのアクションではない”と指摘。この部分に関しては「(オフサイドの)適用は厳しい」と個人的見解を示した。 しかし、そのほかにもいくつか“オフサイドの条件”があるなかで、別の箇所を引用している。 「オフサイドポジションから移動した、またはオフサイドポジションに立っていた競技者が相手競技者の進路上にいて相手競技者がボールに向かう動きを妨げた場合、それにより相手競技者がボールをプレーできるかまたはチャレンジできるかどうかに影響を与えていれば、オフサイドの反則となる」 家本氏は「こちらは状況的に近いかな」と見解を示し、「GKのセービングの進路上に間違いなく(藤尾が)いる」として、“相手競技者を妨げた”オフサイドと解釈するほうが「妥当なのかな」と考察している。 一方、「その選手がいなかったとしても本当にあのボール(シュート)にプレーできたのかという観点で言うと結構ダウトなんですよね」と別視点の意見も展開しており、「必ずしも得点ともオフサイドとも言えない。ぎりぎりのところ」と“得点を認める”という意見にも理解を示した。 番組としては最終的に「白黒はっきり付けられる事象ではないけれども、オフサイドとするケースのほうが多いのではないか」と総括している。 家本氏が最初に語ったように“非常に難解”だった今回の事象。判定の“グレーゾーン”な部分なだけに反響は大きかったようだ。
FOOTBALL ZONE編集部