Tシャツもバッグも、ほぼ100%和紙!「KAMITO」が見出す和紙の新たな可能性。
2020年フォールコレクションでデビューした「KAMITO」は、和紙を主原料にしたテキスタイルを起用している。日本古来から伝わる素材を使うことで、どのように持続可能な社会へとつなげているのか? ブランドスタートの背景や今後の展望を訊いた。
「カミト(KAMITO)」は、テキスタイル開発販売や衣料品のOEM・ODMを行っている繊維商社の豊通ファッションエクスプレス(株)が立ち上げた和紙素材のブランドだ。サステナブルかつ新しい生地を求めていたときに、25年以上和紙を研究しているITOI生活文化研究所の和紙布研究家、糸井徹氏と出会ったことをきっかけにスタートした。 「和紙は原料から製品化までエコフレンドリー。化学的な加工をせずとも吸水性、速乾性、通気性、保温性、調湿性、抗菌防臭性にすぐれています。日常生活に取り入れやすい、和紙のテキスタイルと製品を作りたいと考えたのが出発点です」と担当者は語る。 ローンチコレクションのアイテムは、Tシャツとストール、ソックス、バッグ、タオル、帽子。いずれもユニセックスにて展開している。和紙素材の肌触りと機能性を知ってもらうためにベーシックなアイテムを揃えた。「誰が企画やデザインをしているかではなく、KAMITOの和紙素材に注目してほしい」との考えから、デザイナー等の名前は非公開だという。
肌に触れる部分の99.9%が和紙素材。
原料となる植物は、オーガニック認証を受けているエクアドル農園で栽培されているアバカとカナダ産の針葉樹だ。アバカは農薬や肥料を使用せず3年程度で収穫ができ、収穫後の根から新たな茎が生えるためサステナブルな資源として注目されている。針葉樹は森林保護を目的として伐採された環境負荷の少ない間伐材を利用。大量の水が必要となる抄紙工程においても、水を何度も再利用することで水資源の大量消費をおさえている。出来上がった和紙は1~2mmの細さにスリットしてテープ状にされ、ITOI生活文化研究所が特許を取得した製法で撚糸される。 和紙糸の強度を出すため、芯にポリエステルを使用している糸もあるが、肌に触れる部分は100%近くが和紙になるよう撚糸されている。組成での和紙混率はバッグなら100%、Tシャツで74%、ストールは56%と高い。綿混で和紙の比率を低くしたタオルでも36%あり、どのアイテムも和紙の特長を最大限感じることができるのだ。シャリ感のある肌触りで夏は涼しく、保温性と調湿性で冬は暖かく快適だ。家で手洗いできるイージーケアも嬉しい。 ポリエステル芯は一部でリサイクルポリエステルを使用。2020年秋コレクションでは製品化していないものの、セルロースを芯にした生分解性100%のテキスタイルも開発している。デサントが展開する「リ:デサント(RE: DESCENTE)」では、KAMITOが提供した生分解性和紙素材が使われている。